全体の奉仕者である公務員の勤務条件は、国会・地方議会が、法律・条例で決定すること(公法的規律)が憲法上の要請である。他方、公務員の多くは勤労者である。その労働基本権を保障し、労働協約の締結を通じて、勤務条件の決定に参画すること(私法的規律)も憲法上の要請である。この2つの憲法上の要請を調和させる法制度を実現するためには、公務員の勤務関係を契約関係と捉えた上で、勤務条件を必要的法律事項・任意的法律事項・協約事項に分類すること、フランス法に範を得て、労使協働諮問機関制度、または、労働協約の債務的効力のみを承認する制度を構築することが考えられる。
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