本研究は、事業体課税アプローチを、租税のみならず社会保険料にも及ぼすと同時に、社会保険給付や住宅など、ごく広い意味での公的給付、さらにそれに関連する私的給付にも及ぼすことで、税負担の公平を超えた分配の公平が確保されるシステムを探求することを目的とする。 現在の税・社会保障制度を前提とすると、生活保障という名の優遇が不公平な状況が生み出され、逆の富の再分配(いわゆるマタイ効果)が見受けられる。また、税と社会保障給付と合わせて受給者の生活保障を図る場合に、ますます受給者の状況を悪化させる罠効果が存在する。所得概念の再検討及び非課税所得や富をも考慮に入れた社会保障給付の検討が必要である。
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