研究課題/領域番号 |
23530032
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田中 孝男 九州大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (70404001)
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研究分担者 |
木佐 茂男 九州大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (30122039)
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キーワード | 住民監査請求 / 住民訴訟 / 機関訴訟 / 民衆訴訟 / 客観訴訟 |
研究概要 |
本研究は、日本の地方公共団体(以下「自治体」という)における客観的な争訟制度(国地方係争処理制度、自治紛争処理委員、住民監査請求・住民訴訟制度)の現状と課題を、自治体における行政実務及び実態を踏まえ東アジアとの比較研究を行って明らかにし、今後の客観的争訟制度改革策を考究するものである。 このテーマについて、国レベルでは、平成24年度に、国から地方に対する関与(是正要求・是正指示)について自治体が不作為の場合の違法確認訴訟制度が創設されるなど、大きな法制度の改革が進められた。また、損害賠償請求権の放棄議決と住民訴訟の関係が問われていた事件で最高裁が判決を下したことにより、同判例法理の射程が問題となってきている。さらに、国レベルで現在、住民監査請求に影響を及ぼす監査委員制度の抜本見直しの検討を始めている。 こうした中で、研究代表者・田中孝男は、市町村の監査委員を対象に、講演を複数回行った。その際、多数の監査委員から、制度の問題点や具体的な困難事例などを聴取した。さらに、平成23年度は都道府県の住民監査請求の実態を検討したことから、平成24年度は、市町村の住民監査請求の実態把握に努めた。あわせて、日本と同じような住民監査請求・住民訴訟制度のある韓国の研究を進めてきた。 また、研究分担者・木佐茂男は、名古屋市で起きた地方議会の議決と市長の再議権行使をめぐる機関訴訟について制度における裁判上の多数の問題点を発見し、論考をまとめているところである。さらに、税務訴訟など住民1人一人から見ると金額が少額であるが制度の是正により多数の住民に影響があり、金額も大きくなるような制度的な問題点を是正し得る団体訴訟のような仕組みを構築できないか研究を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
都道府県に続き市町村の住民監査請求のデータ等をまとめることができ、そのうえ、監査委員に対する講演の機会を得たことから、関係者から実務的な問題点の聴取をすることができた。さらに、再議をめぐる機関訴訟について研究を進めることができ、客観訴訟の民衆訴訟と機関訴訟の双方について考察をすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は発表論文が少ないが、年度をまたぐ形で、現在準備中である。これらの成果を、可能な限り早く、逐一発表し、補助事業の最終年次である平成25年度に、事業の目標達成に努めることとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
直接費・・・需用費40万円、旅費40万円、人件費・謝金10万円、その他58,419円。 間接費・・・18万円
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