研究課題/領域番号 |
23530041
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
押久保 倫夫 東海大学, 法学部, 教授 (30279096)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 個人の尊重 / 刑事手続条項 / 人間の尊厳 |
研究概要 |
本年度は、本研究の中心概念である日本国憲法13条の「個人の尊重」及び、それと深く関係するドイツ連邦共和国基本法1条の「人間の尊厳」の理解を深め、それに基づく刑事手続条項の新たな人権解釈の指針を探求した。 まず本年度前半は、ドイツにてHorst Dreier教授のもとで、ドイツ連邦共和国基本法の「人間の尊厳」に関する研究に従事した。人間の尊厳を基本理念とする人権の歴史についてのゼミに参加し、その最後の時間には、ドイツの「人間の尊厳」の議論において日本の人権・憲法論にとっても参考になる事項について論じた、「Anregung zur Japasnischen Verfassung aus der Diskussion ueber die Menschenwuerde im Grundgesetz」と題する報告を行った。 また同時に、日本国憲法13条の「個人の尊重」についても、これまでの研究成果を解釈論的に整理し、さらに個人の尊重を基底理念とする日本国憲法の人権条項の総則的規定である憲法11、12条についても、その趣旨をまとめた。それが、芹沢斉・市川正人・阪口正二郎編『新基本法コンメンタール 憲法』(日本評論社、2011年10月)の、「11,12,13条」執筆部分(pp.93-110)である。 帰国後も、ドイツで集めた「人間の尊厳」に関するドイツ語文献を研究しながら、刑事手続条項の人権解釈の基本理念となる「個人の尊重」についての理解を深め、新たな解釈の創出の柱を確立を目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度前半はドイツに滞在していたので、「個人の尊重」と深く関係するドイツ連邦共和国基本法1条の「人間の尊厳」の理解を深めるのには格好の環境であった為、その研究に集中した。もちろん、「研究実績の概要」で述べたように、「人間の尊厳」との比較において、「個人の尊重」についての理解を深める作業も同時に行ってきたが、日本国憲法における刑事手続条項の具体的解釈を提示するには至っておらず、研究がやや総論部分に留まっている感がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、「人間の尊厳」との比較において「個人の尊重」についての理解を深めながら、刑事手続条項の新たな人権解釈の指針を確立する総論的研究を進めることはもちろんであるが、それに基づく刑事手続条項の各々の解釈を具体的に提示する作業を行わなければならない。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は前半ドイツに滞在していたので、研究費の使用が事務手続き上難しく、その使用は年度の後半に集中することとなり、「次年度に使用する予定の研究費」が生じてしまった。 翌年度以降は、必要な内外の文献を購入するのはもちろん、資料収集のための国内・国外旅行、さらに必要ならパソコン及びその周辺機器等の費用などに、研究費を使っていく計画である。
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