本研究は、日本国憲法における刑事手続上の権利について、13条の「個人の尊重」を基本理念として、この原則を顕在化させることによって、新たな解釈を提示することを目指すものである。そこではまず、基準となる日本港憲法13条前段の「個人の尊重」について、ドイツ連邦共和国基本法1条の「人間の尊厳」と対比しながら、その理解を深めていった。その上で、ドイツにおいて捜査対象者に知られることなく行われる捜査や監視について、それらが一般的人格権や「人間の尊厳」によってその可否が論じられている状況を考察し、日本国憲法35条等の捜査に関する規定において、「個人の尊重」に基づき解釈を行っていく道筋を示した。
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