• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実施状況報告書

日本における行政救済制度史の総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23530042
研究機関早稲田大学

研究代表者

岡田 正則  早稲田大学, 法学学術院, 教授 (40203997)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード国家賠償法 / 行政裁判法 / 行政裁判所 / 裁判所構成法 / 国家無答責 / 国の不法行為責任 / 公権力の行使 / 行政処分
研究概要

2011(平成23)年度は、これまでに進めてきた明治期および戦後の行政救済法関係の立法史と戦前(1945年以前)の学説・大審院判例・行政裁判所判例について、欠落部分を補い、成果として公刊する準備を行うこととした。具体的に行った作業は、以下のとおりである。 (1)第一部・第一章「公法学における歴史研究の方法と公権力の概念史」を執筆した。(2)同・第二章 「公法学における歴史研究の意義――近代的な「時間」の観念と立憲主義・法治国家――」を執筆し、公法研究73号に掲載した。(3)同・第三章「行政処分・行政行為の概念史と行政救済法の課題」の補訂を行った。同・第四章「中間考察」を一部分執筆した。(4)第二部「明治憲法体制確立期における国の不法行為責任――国家無答責の法理と公権力概念――」の補訂を進めた。(5)資料「大審院判決・国家賠償責任関係判決一覧表」の補充を行った。 「研究実施計画」に照らしてみると、(1)から(3)については、おおむね所記の目標を達成できた。しかし、(4)における主要な検討作業と考えていた部分、すなわち、上記第二部・第四章において執筆すべき<第二次世界大戦後の日本国憲法17条・29条3項・40条および国家賠償法の制定過程に関する歴史研究を補充し、戦前・戦後の公法学説との関係についての分析を加える>部分については、十分な作業を進めることができなかった。2012(平成24)年度半ばには、これらの作業を完了させ、同年度中にその成果を書籍として公刊する予定である。この研究によって、日本における国家賠償法制の諸問題・諸矛盾の歴史的な根源を解明し、今後の抜本的な改革の方途を示すことにしたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

総論・方法論・概観の部分については、おおむね所記の目標を達成できた。一方、歴史的実証研究の部分(第二次世界大戦後の日本国憲法17条・29条3項・40条および国家賠償法の制定過程に関する歴史研究の部分)については、年度内に作業を完了できなかった。その理由として、2011年度に公刊した『ドイツ環境法』の翻訳・監訳・補訂作業に多くの時間を費やしたため、公文書等の一次資料を調査・取得するための時間的な余裕がなかったという事情を挙げることができる。2012年度にはこの欠落を埋め合わせることにしたい。

今後の研究の推進方策

前述のとおり、(1)国家賠償法の制定過程に関する歴史研究の部分に作業が及ばなかった。このための資料取得に要する費用を繰り越した。2012(平成24)年度前半には、この作業を行うほか、(2)上記の総論・方法論・概観部分の見直し・補充、(3) 資料「大審院判決・国家賠償責任関係判決一覧表」の補充を行い、日本における国家賠償制度形成史の研究として、書籍を公刊する(弘文堂・行政法研究双書)。 同年度後半には、日本における行政争訟法制の創設過程が世界史の中で有していた意味を分析し、論文化する予定である。まず、1867年オーストリア国基本法中の行政訴訟関係条項(15条等)、1875年10月制定の同国行政裁判所法およびフランスの委任司法に関する1872年法の調査を行い、これらに関する日本法の継受の実情を分析することにしたい(これらの国を訪問して、資料収集と研究動向の調査も行うこととしている)。次に、ドイツ・フランス・オーストリアにおける行政裁判所の役割と比較しつつ、日本の行政裁判所判決の検討作業を行い、この中で、戦前の日本における行政裁判所の固有の役割と戦後における「否定的評価」の淵源を解明することにしたい。以上のように、行政裁判制度史に関する研究成果公表の前提となる基本史料を揃えるとともに、基本構想を確立することが、2012年度後半の到達目標である。

次年度の研究費の使用計画

(1)国家賠償法制・行政裁判法制の歴史研究および比較法研究に必要な書籍を購入する。(2)マイクロフィルム等の形態で保管されている史料については、直接の複写あるいは複写・郵送の依頼などの方法で入手する。(3)行政裁判所判決についても、可能な範囲で(歴史研究にとって有意義であると考えられる範囲で)データベース化を進めたいと考えているので、そのための電子機器類・ソフトウェア類を購入する。(4)1860年代後半から70年代にかけてオーストリア・フランス・ドイツで進められた行政裁判法制の整備・創設に関する史料収集および調査を行う予定であるので、そのための国外旅費が必要であると考えている。(5)国内での行政救済法に関する研究会への出席や史料収集・調査のために、国内旅費も必要であると考えている。(6)その他、事務用品の購入等を予定している。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (4件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 公法学と法実務・基礎法学2012

    • 著者名/発表者名
      岡田正則
    • 雑誌名

      法律時報

      巻: 84巻3号 ページ: 63-67

  • [雑誌論文] 韓国における憲法裁判所および行政法院の機能と役割2011

    • 著者名/発表者名
      岡田正則・河明鎬
    • 雑誌名

      比較法学

      巻: 45巻2号 ページ: 1-18

  • [雑誌論文] 公法学における歴史研究の意義----近代的な「時間」の観念と立憲主義・法治国家----2011

    • 著者名/発表者名
      岡田 正則
    • 雑誌名

      公法研究

      巻: 73号 ページ: 21-41頁

  • [学会発表] 日本における経済行政法理論の生成と展開2012

    • 著者名/発表者名
      岡田 正則
    • 学会等名
      ソウル大学校公益産業法センター第32回国際学術大会「日韓の経済行政法の研究動向と課題」
    • 発表場所
      ソウル大学
    • 年月日
      2012年2月28日
  • [学会発表] Climate Protection and Sustainability in Japan - Tasks following March 11th 20112011

    • 著者名/発表者名
      岡田 正則
    • 学会等名
      Hamburg International Environmental Law Conference 2011
    • 発表場所
      Bucerius Law Schol, Hamburg
    • 年月日
      2011年9月15日
  • [学会発表] 公法学と法実務・基礎法学2011

    • 著者名/発表者名
      岡田 正則
    • 学会等名
      第5回基礎法学総合シンポジウム
    • 発表場所
      早稲田大学
    • 年月日
      2011年7月9日
  • [学会発表] 現代における法・判例の形成と実定法学の課題----企画趣旨説明2011

    • 著者名/発表者名
      岡田 正則
    • 学会等名
      民主主義科学者協会法律部会・2011年度学術総会
    • 発表場所
      立命館大学
    • 年月日
      2011年11月27日
  • [図書] ドイツ環境法2012

    • 著者名/発表者名
      ハンス=ヨアヒム・コッホ(編)/岡田 正則(監訳)
    • 総ページ数
      435頁
    • 出版者
      早稲田大学比較法研究所/成文堂
  • [図書] 法学研究の基礎<法と権利>(分担部分:「権利論と裁量論」)2011

    • 著者名/発表者名
      早稲田大学大学院法学研究科(編)
    • 総ページ数
      253頁(分担部分:93-111頁)
    • 出版者
      早稲田大学大学院法学研究科

URL: 

公開日: 2013-07-10  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi