研究課題/領域番号 |
23530045
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
近藤 敦 名城大学, 法学部, 教授 (30215446)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 憲法 / 国際人権法 / 多文化共生 / 市民的権利 / 政治的権利 / 社会的権利 / 文化的権利 |
研究概要 |
憲法および国際人権法の整合性をめぐり、諸外国の学説・判例・法制度の変容を分析し、外国人・民族的少数者の権利を実現するための法制度を検討することが本研究の目的である。そして、当該年度は、市民的権利と政治的権利を中心に研究する計画であった。そこで、"Migrant Integration Policy in Japan"では、33か国の国際比較調査における日本の移民統合政策(多文化共生政策)の課題が明らかになり、東海地方の取り組みについてもイギリスその他の研究者に伝えることができた。また、「グローバル時代における国籍と市民権」では、国際人権法上の国籍をめぐる原理的な考察をもとに、日本の憲法の新たな解釈の可能性を示した。ついで、「複数国籍の容認傾向」では、こうした国籍の新たな原理的考察を諸外国との比較のうちに跡づけ、複数国籍の容認傾向の背後にある原理的な考察を行った。 さらに、当該年度に原稿を脱稿しており、近刊予定の以下の3つの論文がある。"Rights of Non-citizens"では、憲法のハンドブックにつての国際的なプロジェクトのメンバーとして外国人の人権の市民的権利と政治的権利について考察した。また、" Overview of Migration Policies of Japan and the US " では、アメリカの移民政策の影響と日本の課題をアメリカの研究者その他に伝えるものであり、「日本における多文化共生法制」は、日本の研究者や実務家に対して、日本における多文化共生法制の課題と展望を伝えるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、移民統合政策指数(MIPEX)の比較研究に多くの時間を割いたので、法制度の変容の比較については順調に進んだ。その反面、諸外国の学説と判例の研究が必ずしも十分ではない点もみられた。ただし、比較憲法ハンドブックのための原稿"Rights of Non-citizens"を書くにあたって、学説と判例についてもかなりの程度調べた。したがって、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
憲法の人権規範と国際人権規範との整合性をめぐる判例と学説を分析するとともに、法制度の実務を比較するこれまでの研究を進めるとともに、海外調査を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
社会的、経済的および文化的権利の比較を中心に行い、図書や論文といった文献の渉猟とともに、国内の研究会などでの意見交換を頻繁に行い、アメリカのハワイへの調査を行う。
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