研究課題/領域番号 |
23530045
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
近藤 敦 名城大学, 法学部, 教授 (30215446)
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キーワード | 憲法 / 国際人権法 / 多文化共生 / 市民的権利 / 政治的権利 / 社会的権利 / 文化的権利 |
研究概要 |
本研究の目的は、「憲法および国際人権法の整合性をめぐり、諸外国における学説・判例・法制度の変容を比較分析し、外国人・民族的少数者の権利を実現するための法制度の検討すること」にある。そして24年度は、「社会的、経済的および文化的権利の比較について、国際人権規範の影響を受けた諸外国の人権規範に関する憲法学説・判例・法制度を検討する。とりわけ、労働市場参加、社会保障について考察する」実施計画であった。まず、論文「外国人法制と多文化共生」(『憲法改革の理念と展開 下』所収)は、日本の法制度の課題を憲法および国際人権諸条約に照らし検討した。とりわけ、社会的、経済的および文化的権利の比較についても留意した。ついで、論文「『多文化共生社会』における登録制度・本人確認のあり方」は、日本の新たな在留管理制度・外国人住民登録制度とドイツとスウェーデンの制度を比較したものである。さらに、論文「移民統合政策指数(MIPEX)と日本の法的課題」は、外国人の権利、とりわけ労働市場参加、家族呼び寄せ、教育、永住許可、政治参加、国籍、差別禁止法制をめぐり、欧米諸国と日本を比較した。また、論文「国際比較のなかの日本の移民法制」は、日本の入管法制の特徴をさぐるべく、労働許可、家族呼び寄せ、永住許可、国籍、差別禁止法性について、欧米諸国以外の国とも比較した。論文“Rights of Non-citizens”(Routledge Handbook of Constitutional Law所収)は、外国人の権利について、市民的権利、政治的権利、社会的、経済的および文化的権利について、諸外国の憲法判例を比較考察し、海外に発信している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
8月末よりイギリスでの研究をはじめたので、イギリスをはじめとするヨーロッパ諸国の学説と判例と実務の研究が中心となった。ただし、北米諸国の研究は、まだ十分でない点もみられた。したがって、おおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
憲法の人権規範と国際人権規範との整合性をめぐる判例と学説を分析するとともに、法制度の実務を比較するこれまでの研究を進めるとともに、海外調査を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
女性および子どもの権利の比較を中心に行い、図書や論文といった文献の渉猟とともに、研究会などでの意見交換を頻繁に行い、海外調査を行う。
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