本研究は、憲法および国際人権法の整合性をめぐり、諸外国における学説・判例・法制度の変容を比較分析し、外国人・民族的少数者の権利を実現するための法制度の検討を目的とした。憲法と条約のどちらが優位するのかという抽象的な議論ではなく、どのような国際人権規範の影響を各国の国内人権規範は受け、いかなる学説・判例・法制度の変化がみられるのかを実証的に検証した。そのうえで、権利の性質の判定基準を国際人権規範に求めつつ、憲法の人権規範との整合的な解釈手法を導き、市民的権利、政治参加、労働、社会保障、家族呼び寄せ、人種差別禁止などの多文化共生社会における具体的な課題に応じた法制度のあり方を検討した。
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