本年度は作業の最終年度ということもあり、大きく分けて、これまでの研究のまとめを含む検討と、本研究によって得られた知見に基づく今後の展望についての考察を行った。 前者については、コンゴ民主共和国(DRC)において展開しているPKOやマリで活動中の外国軍およびPKO、中央アフリカ共和国に新たに展開を開始したPKOに関して情報収集を行うとともにその分析を引き続き行うとともに、関係する地域的機関、とりわけアフリカ連合の活動をフォローして国連との関係について、さらに考察を深めた。この点についてはすでに英文論文で公表を予定しているほか、「一般国際法における国連と地域的機関の関係」というタイトルで、邦文でも論文の公表を予定している。 そのほか、国際判例や国内判例において、国連の活動を規律する国際人権規範の適用問題を引き続き検討し、その結果を論文でまとめる作業に着手している。 後者の今後の展望については、これまでの検討結果に基づき、多国籍軍や地域的機関が主導して、国連に代替する「疑似」集権的なシステムとも呼べる活動の存在に着目し、これをいかに国連の集団安全保障システム内に定位するかという問題を摘出することができたことから、これまでの知見に依拠して、今回の研究の総括を行いつつ、集団安全保障システムの新たな展開とその分析の作業に取り掛かることにする。
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