研究概要 |
初年度は当初の予定通り、最重要関連文献の体系的収集およびその分析を順調に進めた。研究の完成に大きく関わると思われる基底文献は、主たる一部として以下のものがある。Jan Klabbers, Anne Peters, et al, The Constitutionalization of International Law (Oxford U.P., 2009)、Nicholas Tsagourias (ed), Transnational Constitutionalism (Cambridge U.P., 2007)、R. St. John Macdonald et al (eds.), Towards World Constitutionalism (martinus Nijhoff, 2005)、Bardo Fassbender, The United Nations Charter as the Constitution of the International Community (Martinus Nijhoff, 20109、Christine Schwöbel, Global Constitutionalism in International Legal Perpective (Martinus Nijhoff, 2011)、Antonios Tzanakopoulos, Disobeying the Secuirty Council (Oxford U.P., 2011)この間、海外で開催の学会にも積極的に出席して(2011年8月、アジア国際法学会大会=於・北京=、2012年3月、米国国際法学会=於・ワシントン市)、各国研究者と有意義な意見交換および共同作業を行った。後述の通り、折に触れて学会報告および論文執筆も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」欄に記載のとおり、理論的研究としての土台固めは着実に進行している。「国際法の哲学的基盤」というテーマを必要以上に思弁哲学に傾けることなく、また国際法から離れて法哲学に飛躍せぬように注意すると、主として力点を置くべきは国際立憲主義(international constitutionalism, global constitutionalism, transnational constitutionalism)になるであろうとの見通しも立ち始め、理論化の構想も次第に固まりつつある。特にこの間、自らの文献分析努力に加えて、種々の機会に各国の研究者と意見交換できたことの意味は大きい。とりわけ、基底文献の一つの著者であるAnne Peters教授との研究上の親交を持つことができ、研究方向を同じくする者同士として情報交換や相互批判をできるようになっただけでなく、2012年6月には国際学会での共同作業を予定している。研究成果をもう少し活字化できれば望ましかったが、この種の研究は短期間に次々と成果を出すというよりは、土台作りをし熟成させた上で成果をあげる種類の研究なので、次年度以降に課題を残したい。
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