研究課題/領域番号 |
23530054
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
最上 敏樹 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (70138155)
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キーワード | 国際公法 / 国際法哲学 / 国際立憲主義 |
研究概要 |
成果は着実に挙がり、資料文献の読み込み、自身の理論構築、各種論文および草稿の執筆、学会報告、各国研究者との交流等、種々の面にわたって活動を行なった。 自身の学会業績としては、2013年5月に世界法学会研究大会において「批判的国際立憲主義の構造ー抵抗と均衡のヘテラルキー」と題する研究報告を行い、その成果を一部は『法律時報』2013年10月号に「国際立憲主義の新たな地平」と題して、一部を『世界法年報』第33号(2014年3月刊行)に「国際立憲主義批判と批判的国際立憲主義」と題して、それぞれ論文として表した。また、アジア国際法学会研究大会(ニューデリー、2013年11月)において、国際法の哲学的基盤その他の論題を扱うべく、研究計画委員会副委員長として「国際法教育」研究部会を設置し、その創設セッションのチェアを努めた。同月以降は研究計画委員会共同委員長として、同部会を始めとして学会の各種活動の企画立案および執りまとめを行う。 このほか学会関係では、2013年5月にヨーロッパ国際法学会研究大会(於・アムステルダム)に出席して各国研究者、とりわけ国際法の哲学的理論や国際立憲主義の専門家たちとの意見交換に実を挙げた。更に、科研費の次年度繰越出張を認めていただいて、例年より半月ほど遅れて2014年4月に開かれた国際法米国国際法学会大会にも出席し、ここでも有意義な成果を挙げることができた。 また、2013年秋より、国内外の専門的研究者約20名が参加する国際立憲主義研究会に加わり、研究会および論文執筆を行う態勢を組み立てた。これは2014年度以降もしばらく継続する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「実績概要」に記載した各項目にわたり、万遍なく成果を挙げている。論文執筆は、本格的には終了年次までの研究成果を元に書く予定とし、慎重を期して今年度(2014年)の達成課題としたため、直接に研究課題に関するものとしては「実績概要」記載の諸論文にとどまったが(以上の他、国際法協会日本支部2012年研究大会報告を論文化した、"Towards Jus Contra Oligarchiam - A Note on critical Constitutionalism" がJapanese Annual of International Law, Vol. 55 = 2013年3月刊行がある)、その成果はすぐに現れる見通しである。 体調不良のために、科研費を用いて実施するはずだった海外出張が今年度に延期になった等の事情を考慮し、「おおむね順調」との自己評価にとどめたが、内容的には当初計画以上に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
かねてより進めていた国際立憲主義研究の成果を元に開始した本研究課題であるが、それを遂行するうちに、国際法の哲学的基盤を解明するためには国際法史および国際法研究史の本格的な洗い直しが必須であることを確信した。そうした史的再検討は、今年度開始の科研費研究課題「時際法(Intertemporal Law)と国際立憲主義」へと引き継ぐ予定であり、今次の哲学的基盤の研究が、それ以前とそれ以後を有機的につなぐものとして大きく役に立った。 この3年間の成果それ自体は近いうちに数本の論文の形で公表するが、それと並んで、上記のような研究の有機的な連関が可能になっていることが、今次研究課題遂行の目に見えない成果であり、それを有効に活用したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
(1)例年は3月末までに開催される米国国際法学会の大会が、今年度(AY2013)は諸般の事情により4月の開催となったため、あらかじめ繰越を申請した。この出張は予定どおり執行し、繰越額の約半額は既に消費されている。 (2)2014年2月にベルギー国ルーヴァンで開催された国際立憲主義の国際研究プロジェクト集会に、参加しペーパーを発表する予定であったところ、直前に体調を崩し、取りやめのやむなきに至った。このプロジェクトの集会は2014年夏頃には第2回を開催の予定で、そのおりに使わせていただく。 (上記第(2)項に記載済み。)
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