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2012 年度 実施状況報告書

非国際的武力紛争概念の「再定義」と規制規則の複合化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23530055
研究機関同志社大学

研究代表者

新井 京  同志社大学, 法学部, 教授 (10319436)

キーワード国際人道法 / 非国際的武力紛争 / リビア / イラク
研究概要

24年度は「新しい」非国際的武力紛争(NIAC)に適用される国際人道法の「新たな意義」に関する研究を進める予定であった。「再定義」されたNIACに適用される国際人道法が、適用対象の広がりに伴って、どの程度変質しうるのか、あるいは現実にどの程度変質したのかを明らかにしたかったのである。
ただ、24年度の研究の途上で、国家間紛争であるIACが何らかの要因で国際的性質を喪失しNIACになる現象(国際紛争の非国際化)がNIACに適用される国際人道法の性格を理解する重要な手がかりであることに思い至り、この点を詳しく研究することにした。たとえばリビアの事例のように旧政権と叛乱団体のNIACとして始まり、NATO軍のような外国の叛乱側に立った介入によりIAC化し、旧政権の敗北と叛乱側への政府承認によって再びNIAC化する事例の場合に、IACであったときに旧政権側兵士が有していた捕虜としての国際法上の地位・保護は、NIAC化して新政権との関係においてどのように変化するのかという問題である。これを検討することにより、複雑な国際人道法の適用関係においてNIACに適用されるべき規則がどのような意義を持つか、IACにもNIACにも適用される規則とはどのようなものか、またNIAC化してもなおIAC時の保護が継続するのであればそのような保護はどのような根拠で認められるのかということが明らかになると考えた。
検討の結果、根本的にIACがNIAC化することには非常に重い条件があって、安易な政府承認の切替で十分なわけではないこと、またIACにおいて得られていた保護がNIAC化してもなお、一定程度保護されなければならないことが明らかになった。この答えは半ば予想されていたものであるが、この点を確認できたことは研究計画全体にとって有意義であった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

少々、計画とのズレはあるものの、現実の国家実行の推移にあわせて、非国際的武力紛争に適用される国際人道法の新しい機能の全体像をフォローできていると考えられる。

今後の研究の推進方策

次年度は「国際人道法と人権法の補完的適用関係および衝突」の観点から非国際的武力紛争に適用される国際人道法の研究を進めるが、問題点を整理しながら、人権法との関連性の観点から、24年度に追い切れなかった「基本的人道原則」の意味についても考えて行きたいと思う。

次年度の研究費の使用計画

円安の関係で今後書籍購入費などが高騰すると思われる。また24年度に出版が予定されていた書籍が出版社の都合で出版延期になっているものもある。24年度未消化分はそうしたことで25年度に発生する経費に使用したい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 国際的武力紛争の非国際化

    • 著者名/発表者名
      新井京
    • 学会等名
      京都大学国際法研究会
    • 発表場所
      京都大学

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公開日: 2014-07-24  

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