本研究は、①WTO紛争処理手続の紛争事例を分析し、SPS措置の国際比較の重要性を明らかにした。②SPS協定上努力義務たる措置の同等あるいは無害無病地域の設定に関する二国間交渉・合意とWTO紛争処理手続の関係を明らかにし、二国間交渉がWTO紛争処理手続への提訴に代わる紛争解決機能を有していることを示した。③二国間交渉の結果としてもたらされる輸出国毎に異なる青果物の植物検疫制度が不必要に貿易を歪曲しており、その除去・最小化が途上国の農産物輸出拡大に重要であることを示した。④二国間合意とWTO体制の緊張関係を解明し、その相互作用が国際経済法の断片化を防止していることを明らかにした。
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