研究課題/領域番号 |
23530059
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
江口 隆裕 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (10232943)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 移民政策 / チュニジア / フランス / アルジェリア / 生活保障 |
研究概要 |
初年度である平成23年度は、本学の「北アフリカ研究センター」を拠点として、チュニジアにおける移民問題について調査を行った。具体的には、9月2日から14日までの間チュニジアを訪問し、同センターを拠点としつつ、チュニス大学の研究者の協力を得て、移民問題に関する調査を行うとともに、年金制度をはじめとする社会保障制度の概要も調査することができた。 チュニジアの社会保障制度は、制度の構造がフランスの社会保障制度と類似しているだけでなく、チュニス市内にある社会保障金庫を訪問したところ、金庫の建物の外観、表示の仕方さらには相談コーナーの配置など五感に訴えるものがことごとくフランスの金庫とそっくりであり、驚きを禁じ得なかった。植民地主義というものが、五感に訴えるものから支配していく1つの例であるが、その背後には、フランスの植民地政策の基本にある「同化主義」イデオロギーの存在を指摘することができる。 また、3月31日から4月8日にかけてフランスを訪問し、パリにおいてフランスの移民政策に関する調査を行った。その結果、歴史上多くの民族が行き交ったフランスでは、移民問題を語るためには「フランス人とは何か」を決めなければならず、この問題はフランス革命にまで遡ることなどが明らかとなった。 また、マルセイユに赴き、「マグレブ移民情報センター(Cidim)」を訪問したが、同センターはすでに閉鎖されていることが明らかとなった。ただ、これに代わりうる組織として、ソーヌ地方にある「フランコ-マグレブ文化交流センター(Cicfm)」があることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は、チュニジアにおける移民に関する調査を行うことができ、また、同国の社会保障制度についても概要を知ることができた。また、フランスの移民政策に関する資料や文献を入手できた。ただし、「マグレブ移民情報センター(Cidim)」は閉鎖されていることが明らかとなったので、これに代わり「フランコ-マグレブ文化交流センター(Cicfm)」を調査対象とすることとした。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、アルジェリアにおけるフランス移民の問題について調査を行う予定である。その上で、平成25年度は、マグレブ諸国の中で残されたモロッコについて調査を行うとともに、チュニジア及びアルジェリアについて、必要があれば追加調査を行う予定である。 また、フランスの移民政策に関する調査を平成24年度及び25年度も行うこととしている。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度は、系長の職にあったため、長期にわたる海外出張を行うことができず、年度末ぎりぎりの3月31日にフランスの調査に行ったため、4月1日分以降の旅費等については、次年度に繰り越すことになった。 平成24年度は、アルジェリアにおけるフランス移民の調査を行う予定である。具体的には、5月17日にアルジェリア第二の都市オランで行われる「第2回アルジェリア-日本アカデミックシンポジウム」(オラン工科大学・筑波大学共催)において本研究の趣旨を発表し、アルジェリアの研究者の協力を要請することとしている。その協力が得られれば、秋に現地調査を行う予定である。 また、フランスでは、「マグレブ移民情報センター(Cidim)」に代わる組織として「フランコ-マグレブ文化交流センター」を調査対象として訪問し、マグレブ移民の生活実態調査などを行う予定である。
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