EU及び加盟国(なかでも英国およびフランス)での食品分野における取引(事業者間)の実態と法規制について研究調査し,英国については研究会での報告,フランスについては翻訳作業等を通じて成果を公表した(なお,英国については英文リサーチペーパー執筆も行い投稿したが掲載確定にいたらないうちに状況が変化したため公表に至らなかった)。また,これらの研究から得られた比較法的知見を踏まえて,日本法における優越的地位濫用規制の在り方について,従来から本研究課題遂行上意見交換等を行ってきた研究者とともに英語論文を執筆した(掲載確定)。また,上記事項にかかるEU法の研究調査結果を基礎としつつ,理論的に本問題との関連性が意識されるようになっているアフターマーケット問題について研究調査し,成果のうち複数の部分を研究会で報告し論文にまとめた(掲載確定)。これらと並行して,事業者自らが契約条項等を通じて自己の商品の安全性・品質等を消費者に対して保証しようとする行為について考察し,この結果等を用いながらインターネット取引における垂直的制限行為の独禁法上の規制にかかる論文を公表した。これらの研究の過程では,日本・独禁法の先例をレビューする資料を作成し,この資料はインターネット上で公開した。 食品分野における公的規制を通じた消費者保護のあり方を,EU・英国・日本法との比較において検討し,その結果のうち,公的な品質・表示規制と商標制度との関係については論文を公表することにより,表示規制一般につき重要事項の開示を怠る行為の規制,公的執行と私的執行との関係等については研究会での報告及びEU指令の翻訳により,それぞれ研究成果を公表した。
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