研究課題/領域番号 |
23530064
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
根本 到 大阪市立大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (60304135)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 公私協働 / 非正規雇用 |
研究概要 |
科研費の研究テーマである、労働法規の公法的効力と私法的効力が相互に交錯する具体的な法分野として、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(以下、高年法とする)をあげることができる。この高年法については、2011年に厚生労働省の下に組織された研究会で報告書が公表され、2011年末に労政審の建議が出て、2012年の通常国会で高年法改正案が上程されている。このため、高年法改正を私法的効力の観点から検討し、月刊労委労協(2011年)に、論文「高年齢者雇用安定法の改正に向けた諸問題」を公刊した。法改正の方向として、企業名公表制度などの導入にとどまり、私法的効果を明示することが見送られたが、この問題点を法的な観点から分析した。 また、2011年から2012年にかけては、有期労働規制を労働契約法に取り入れる法案や、労働者派遣法の改正案が示された(後者については2012年3月に法案可決)。両者についても、労働法規の公法的効力と私法的効力の相互関係が問題となるが、2011年度はこの二つの法案に関する研究会などにも出席し、研究を進めた。こうした研究会の出席によって得た知見をもとに、現在は論文の公刊を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日本における労働法規の公法的効力と私法的効力の相互関係を把握する研究は一定程度進展したが、ドイツなど諸外国の理論状況との比較、検討をほとんど進めることができていない。ドイツなどの理論状況を文献研究や海外調査を通じて考察し、日本の法規制の在り方と比較、検討することが今後の課題となる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き日本の議論状況についても研究を進めつつ、ドイツなど諸外国の労働法規の公法的効力と私法的効力の相互関係の状況を分析する。海外調査なども行い、科研費テーマに関する先行研究を持つ外国の先生方と意見交換を行い、ドイツなど諸外国の法理論状況や判例状況を整理していく。とくにドイツの労働者派遣法の改正経過やパート有期労働契約法の制定過程において、公法的制裁措置と私法的効果が相互にどう位置づけられていたかを考察しなければならないと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記の推進方策を進めるため、日本で行われる各種研究会に出席し、研究を進展させる。また、海外調査も行い、文献研究または外国人研究者や労働行政担当者などへのインタビューも行う予定である。
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