研究課題/領域番号 |
23530066
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研究機関 | 熊本県立大学 |
研究代表者 |
石橋 敏郎 熊本県立大学, 総合管理学部, 教授 (60151403)
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研究分担者 |
天野 拓 熊本県立大学, 総合管理学部, 准教授 (20572746)
木場 千春(長千春) 西九州大学, 公私立大学の部局等, 助教 (60369098)
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キーワード | 最低所得保障制度 / ワークフェア / 求職者支援制度 |
研究概要 |
平成24年度は、石橋と天野で、アメリカ合衆国に調査に行く予定であったが、直前に天野の体調不良により、断念せざるをえなくなった。そこで、石橋は、主として国内の研究会等で、最低生活保障法制や生活保護自立支援プログラムに関する研究および報告を行なってきた。その成果は、社会保障法学会編『新講座・社会保障法第3巻 ナショナルミニマムの再構築』(法律文化社、2012年7月)のなかの、第4章「所得保障法制とナショナルミニマム」(69-86頁)に掲載されている。そこでは、生活保護制度だけでなく、失業保険、社会手当、税制を含めた重層的所得保障制度の再構築の必要性が説かれている。もうひとつの成果は、良永彌太郎・柳澤旭編『荒木誠之先生米寿祝賀論文集・労働関係と社会保障法』(法律文化社、2013年1月)の第5章「最低所得保障と雇用促進政策ー荒木理論を手がかりとして」(149-193頁)に掲載されている。この論文は、荒木誠之先生の「労働法と社会保障法」に関する論文を手がかりに、最低所得保障制度たる生活保護給付に対して雇用促進が優先するような政策に対する慎重な姿勢と、生活保護を「契約」でとらえようとするアメリカの考え方に対する疑問を提示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成24年度は、石橋と共同担当者天野で、アメリカ合衆国カリフォルニア州UCLAのハンドラー教授を訪ねて、アメリカのTANF受給者に対するワークフェアの理論と実際についてインタビュー調査をする予定であったが、直前になって天野が体調不良により長期治療が必要になったため、断念せざるをえなかった。したがって、今年度は、アメリカ合衆国、カリフォルニア州UCLAか、マサチュウセッツ州ハーバード大学、ニューヨーク州コロンビア大学、ノースカロライナ州デューク大学のどこかの大学関係者とコンタクトをとって調査する予定である。できれば、ヨーロッパのベルギー・ルーバンカソリック大学あるいはイギリス・エジンバラ大学をおとずれたいと希望している。また、同共同研究者木場千春は、育児休業のため平成24年度は予算を執行していない。今年度にまとめて調査・研究に従事する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の進め方としては、24年度分に予定していたアメリカ合衆国での調査とできれば欧州での調査をまとめて25年度に実施したいと考えている。石橋と天野は、アメリカにおいてワークフェア政策が登場してきた背景、実際の実施状況、生活保護受給機関を最長5年、連続して2年というように期限をつけたアメリカの「一時的扶助」(TANF)についての聞き取り調査及び資料収集をする予定にしている。また、社会的統合という用語を始めて使ったヨーロッパ(ベルギーかイギリス)に出かけて、社会的統合という用語が出てきた背景、アクティべーションなどのヨーロッパ型就労自立支援策の研究を行ないたい。木場は、引き続き国内の生活保護受給者の就労支援と新しくできた「求職者支援制度」の研究に携わることにしている。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度(平成25年度)は、アメリカとヨーロッパでのワークフェア制度についての研究を行なう予定である。石橋と天野は、9月頃にアメリカ合衆国、12月に欧州を訪問して、最低所得保障制度の現状と改革の様子、生活保護受給者の就労自立支援政策の現状と課題について調査研究する予定である。したがって、25年度予算の大半は、石橋と天野はアメリカ合衆国及び欧州への出張旅費と滞在費、通訳謝金に当てられることになる。木場は、国内の生活保護受給者の就労支援と新しくできた「求職者支援制度」の研究に携わることにしているので、木場の予算は、国内の諸機関での調査費用(旅費)と物品費に充当される予定である。
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