研究課題/領域番号 |
23530067
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研究機関 | 駿河台大学 |
研究代表者 |
吉田 恒雄 駿河台大学, 法学部, 教授 (90147918)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 児童虐待 / 精神障害者 / 児童福祉 / 精神保健福祉 / ソーシャルサポート |
研究概要 |
1.アンケートの実施 平成23年度は、初年度の研究として、精神障害者による児童虐待への自治体による対応の実情を調査するため、ヒアリングに先立って、埼玉県の全市町村73自治体の「要保護児童対策地域協議会調整機関」を対象にアンケートを実施した。うち55自治体から回答を得た(回収率76.3%)。現在のところ中間集計の段階であるが、担当者のうち児童福祉の専門資格を有しない者が少なくないこと、実務者会議の開催状況にはばらつきがあること、困難ケースの件数についても自治体による差が大きいこと、対応困難な保護者の状況としては、メンタル面での課題を有する者が多いこと、これらの者への対応として、障碍の受容に課題があることなどが明らかになっている。24年度は、この調査結果をさらに詳細に分析するとともに、ヒアリング等を通じて具体的な対応の状況や困難、制度的課題等を明らかにする予定である。2.外国における取組状況調査 本研究に関連して、外国での取り組み状況調査として平成23年8月にはイギリスに、平成24年3月に韓国に出張し、それぞれ子どもへの暴力防止の取組み及び児童福祉実務の調査を行った。イギリスにおいては、虐待防止の前提として子どもへの体罰禁止立法の有効性についてとくに調査を行い、そのアピール効果の大きさについて知るとともに、社会変革の重要性を認識した。韓国では、とくに民間機関による積極的・先進的取組状況を知ることができた。3.文献調査 わが国における本研究課題に関する論文・資料を収集した。しかし、この分野における研究は、医療・福祉等の個々の研究が緒についたばかりであり、とくに法制度にまで踏み込んだ研究が乏しいことが明らかになった。今後の分野横断的な研究の必要性を痛感した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アンケート調査を実施したが、その分析に時間を要しているため、次の段階であるヒアリングにまで至っていない状況にある。研究代表者及び研究協力者の学内業務の多忙によることに加えて、分析の視点等についてなお十分な合意が得られていないのがその理由である。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、23年度に実施したアンケート調査の分析を行い、その結果に基づいてヒアリングを実施する予定である。これらの結果を踏まえて、調査報告書を作成する。併行して、本研究テーマに関する文献調査を継続し、判例・審判例の分析、福祉現場における取組みの実情の検討を通じて、制度及び実務の改善の方向性を探ることとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、国内調査としてはアンケート調査の対象となった自治体へのヒアリング調査のための経費、国内の先進的取組みをしている自治体の調査のための国内旅費、外国における実情調査のための国外旅費、資料整理・ヒアリングのための謝金、報告書作成のための支出を予定している。その他、必要に応じて図書、消耗品、備品の購入を行う。
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