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2012 年度 実施状況報告書

精神障害者による児童虐待への対応に関する法学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23530067
研究機関駿河台大学

研究代表者

吉田 恒雄  駿河台大学, 法学部, 教授 (90147918)

キーワード児童虐待 / 精神障害者
研究概要

本研究課題に即して、平成23年度に埼玉県全市町村の要保護児童対策協議会調整機関を対象に、「対応困難な保護者による子ども虐待への市町村の対応に関する調査」を実施した。平成24年度はこの調査結果を分析し、報告書にまとめ、関係者に配布することとした。この調査からは、①各調整機関の職員の専門性が十分に確保されておらず、その不足を補うための研修やスーパーバイズ等の対応が十分になされていないこと、②同協議会の代表者会議、実務者会議、個別ケース会議は全国平均に比較して開催回数が少ないこと、③かかる保護者については、支援以前に「コミュニケーション」の確保に大きな課題があること、④各協議会が扱っている事例の28.5%が対応困難事例であること、⑤保護者の状況としては、「うつ病・気分障害」や「統合失調症」が多いこと、⑥調整機関として「親との心理的かかわりの不足」、「事務局の知識・スキルの不足」を課題としてあげるものが多いこと、⑦対応困難事例で第一に必要とされた対応としては、「医療」、「子育て支援」、「母子保健」、「カウンセリング」の順であったこと、⑧自由記述からは、かかる保護者に対してはさまざまな機関からのアプローチや保護者にとって有益な情報、サービスの提供が有効であること等が明らかになった。こうした基礎調査により、調整機関が今後取り組むべき課題と解決の方向性が示されたことは、今後の研究に役立つものと思われる。また、精神障害等を有する親による児童虐待について、要保護児童対策地域協議会での対応の実情や課題等に取り組んだ調査研究がこれまで見られないことから、本調査研究のもつ意義は大きいといえる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初予定していたヒアリング調査を実施できていないところから、本研究課題で明らかにすべき要保護児童対策地域協議会事務局での対応の実情の細部をとらえきれていない。また、文献研究については、保健・医療・福祉分野の文献は収集できているが、法学分野の文献が少なく、十分には収集できておらず、分析にまで至っていない状況である。

今後の研究の推進方策

平成25年度は、24年度の調査分析ではカバーできなかったヒアリング調査を実施し、実際の対応状況や課題を明らかにするとともに、各協議会がこれら困難事例への対応で工夫している点などの情報を収集し、他の自治体でも活用できるようにとりまとめを行い、最終報告書とする予定である。文献収集については、これをさらに進めるとともに、とくに法学分野の文献収集および分析を行い、精神保健福祉法、児童福祉法、民法等を有機的に活用し、被虐待児の保護および親の支援の在り方を複合的に研究する。
これらの研究成果を最終的に報告書にまとめ、関係者の利用に供することとする予定である。

次年度の研究費の使用計画

上記の来年度研究計画に即して、①ヒアリングのための旅費、②保健・医療分野からの協力を仰ぐための謝金、③文献収集のための図書購入費、コピー代、④報告書印刷費等に、次年度の研究費を使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 対応困難な保護者による子ども虐待への市町村の対応に関する調査2013

    • 著者名/発表者名
      吉田恒雄
    • 雑誌名

      対応困難な保護者による子ども虐待への市町村の対応に関する調査報告書

      ページ: 1-40

  • [学会発表] 対応困難な保護者による子ども虐待への市町村の対応に関する調査について

    • 著者名/発表者名
      吉田恒雄
    • 学会等名
      児童福祉法研究会
    • 発表場所
      中央大学駿河台記念館

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公開日: 2014-07-24  

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