研究課題/領域番号 |
23530068
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
橋本 陽子 学習院大学, 法学部, 教授 (00292805)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 労働者概念 / 労働契約 |
研究概要 |
平成23年度は、労組法上の労働者概念について、平成23年4月12日最高裁の2判決(新国立劇場運営財団事件・労判1026号6頁;INAXメンテナンス事件・労判1026号27頁)を踏まえて、検討を行った。最高裁は、先例(CBC管弦楽団労組事件・最一小判昭和51・5・6民集30巻4号437頁)に従い、労組法上の労働者を比較的緩やかに認めたといえるが、一般論を提示したわけではなく、まだ労組法上の労働者概念が明確になったとは言い難い。研究代表者は、労組法上の労働者概念について、平成23年5月15日の労働法学会で報告を行う機会に恵まれ、この報告をもとに「個人請負・委託就業者と労組法上の労働者概念」という論稿を執筆し、学会誌労働法118号26~38頁(2011年)に公表した。その他、労働者概念および非正規雇用に関する複数の論稿を平成23年度中に公表することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度に予定していた労組法上の労働者概念について、検討を行い、一応の成果を公表することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の検討を踏まえ、平成24年度は、労働者概念の相対性ないし統一性について検討を行いたい。わが国では、労基法上の労働者概念よりも労組法上の労働者概念のほうが広いという点で、理解が一致しているといえる。研究代表者もかつては同様に理解していたが、比較法的研究を進めていく中で、ヨーロッパ法の動向は、統一的な労働者概念に立脚しているのではないか、そして、かかる統一的な労働者概念が望ましいのではないかという認識をもつようになった。なぜ、統一的な労働者概念を志向すべきなのか、概念の明確化に資するという実務上の必要性だけでなく、その内在的な理由を少しでも解明したいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
文献購入代金および関連するセミナー参加のための旅費等に支出することを計画している。
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