研究課題/領域番号 |
23530071
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
橋本 宏子 神奈川大学, 法学部, 教授 (50086972)
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研究分担者 |
太田 匡彦 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (80251437)
井上 匡子 神奈川大学, 法学部, 教授 (10222291)
柴田 直子 神奈川大学, 法学部, 准教授 (20409840)
諸坂 佐利 神奈川大学, 法学部, 准教授 (10386815)
飯村 史恵 立教大学, コミュニティ福祉学部, 准教授 (10516454)
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キーワード | 社会福祉協議会 / 地域福祉 / 市民社会 |
研究概要 |
現在、日本型福祉のキーコンセプトとして、理論的にも実践的にも注目を集めている「地域福祉」概念に注目し、「社会福祉協議会」が果たす(べき)役割について、検討する。「社会福祉協議会」は、個別の事業者や団体、あるいは個人をつなぐ中間組織として、また同時に地域自治組織などと協働しつつ地域福祉を支える団体として、大きな期待を寄せられている。しかしながら、その実態について、特に法的視点からの検討は十分になされているとは言えない。本共同研究では、主として神奈川県を対象とし、「社会福祉協議会」の実態を明らかにし、行政学・行政法、社会保障法の観点から、「社会福祉協議会」の団体としての法的性格を分析・検討する。同時に、パブリックセクターとの関係、プライベイトセクターである企業・事業体との関係、またNPOなどとの関係についても、考察する。法哲学・社会理論の観点から「地域福祉」を支える中間団体としての意義と可能性を探る。 具体的には、以下の柱を建て研究をすすめる。A社会福祉協議会の実態調査 B社会福祉協議会の法的性格に関する研究 B-1国内法的な研究 B-2 比較法的研究 C 社会理論の観点からの研究 D 研究の統合・地域福祉の担い手としての社会福祉協議会のための施策
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
A 社会福祉協議会の実態調査 神奈川県に加え、部分的には東京都に関しても調査の比較の対象として対象を広げた。歴史的経緯・沿革も含めて研究をもとに、以下の点につき、調査を実施した。地区社協、市町村社協、県社協などの相互関係、自治体などとの関係を資金・人の動きの観点からの分析。それぞれの組織の政策決定に関する実態と意識についての聞き取り調査を実施。 B以下の研究を進めるために中間的に報告会を随時実施した。社会福祉協議会の法的性格に関する研究 国内法的な研究を主として進めた。実態調査の中間的報告を受け、既存の法人制度の中での位置づけを検討した。社会福祉協議会の特徴と法的な位置づけに関して分析し、検討した。 C 社会理論の観点からの研究 社会福祉協議会の役割やそもそも地域福祉概念を検討するために、現代市民社会論の観点から、公的団体と民間団体の関係、また市民社会内の諸団体の関係について検討した。 D 研究の統合・地域福祉の担い手としての社会福祉協議会のための施策 BとCは、Aの成果報告と両輪をなす形ですすめられている。そこでは、両者のフィードバックも行われており、実質的にはDについても、着手しており、その意味で、具体的な成果としてまとめ上げるのは、最終年度の課題となるが、概ね順調といいうる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の中で設定した柱に沿って、以下のようにすすめる。 A社会福祉協議会の実態調査 神奈川県の調査や、歴史的経緯についての調査についてのまとめをおこなう。特に、1) 各団体の規定など機構上・組織上の分析・検討 2) 補助金のながれなど、運営に関する分析・検討を中心におこなう。また、具体的な事業展開や政策形成過程における意思決定プロセスや、それらに関わる人たちの意識の問題などについても、追加的に調査・分析する。さらに、下記Bで得られた視点を、検討枠組に生かし、分析することを目指す。 B社会福祉協議会の法的性格に関する研究 B-1国内法的な研究 1) 法人制度の中での検討、2) 苦情処理・不服申立などに関する分析・検討 3) 自治体、他の団体との関係についての分析・検討を実施する。 B-2 比較法的研究 日本の状況を相対化し検討するために、同じく中央集権的な地方自治の制度をもつフランスの地域社会・住区組織について調査を行う。昨年の調査を元に、更なる追加の調査の実施とともに、具体的な形での成果をまとめる。 C 社会理論の観点からの研究 市民社会論を参考に、社会福祉協議会を位置づける。また、行政法分野における公私協働論との接合を図る。 D 研究の統合・地域福祉の担い手としての社会福祉協議会のための施策 昨年度までの論点の整理に基づき具体的成果をまとめる。また、公開研究会の実施を通じて、共同研究の成果の一部を公表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
国内実態調査、理論研究に必要な文献の購入や、インタビューなどに関わる費用の他、比較法的調査のための旅費などとして使用する計画である。 また、来年度の研究とりまとめのための公開研究会を実施するための諸費用としても、使用する。
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