研究課題
本研究ではまず、わが国の社会福祉協議会の内実について分析を試みた。その上で、一方では日本国憲法前文に係るロックの現代的意義をふまえつつ、他方では近代西洋のパラダイムを超えた視点にも配慮しつつ、生命・生存の保障に係わる市町村社会福祉協議会の今後の「立ち位置」とその姿勢のあり様について、最終年度に本格的に実施した調査結果も踏まえながら考察を行った。また関連するところとして、社会福祉協議会の歴史を辿りつつ、社会福祉協議会の自律性及び主体性を確保するという観点から、組織の基本となる住民会員制度と住民参加に焦点をあてて考察を行った。行政法学の視点からは、社会福祉協議会に法が期待している役割と組織を明らかにし、そこに見られる特色と問題点を考察した。これは、社会福祉協議会の特色を法学の観点から分析する初めての本格的な試みとなった。また、国及び地方自治体から社会福祉協議会に交付される補助金のしくみを詳細に検討することにより、政策法務の視点からの問題提起を行った。法哲学的な視点からは、社会福祉協議会をコミュニティ・オーガニゼーション的機能とサービスプロバイダー的機能の2つの機能をもつ団体として位置づけ、市民社会論の側からの課題を整理するとともに、公私二元論に再考をもたらしている他の事例と比較研究を行うことで、公私二元論批判、公私再編の文脈のなかに、社会福祉協議会を積極的に位置づけることにより、新しい成果を得ることができた。
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