研究課題/領域番号 |
23530075
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐久間 修 大阪大学, 高等司法研究科, 教授 (00126864)
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研究分担者 |
重井 輝忠 大阪大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (80335497)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 企業法務とコンプライアンス |
研究概要 |
平成23年度は、わが国におけるコンプライアンスの実情や今後の課題を探究するうえで、必要不可欠とみられる国内外の文献を渉猟・入手することが中心になった。また、会社法務の問題点に関する生のデータを収集するための準備作業を着手した。 具体的には、前者が、経済犯罪の中でも最近の重要テーマに絞りつつ、これに関係する国内外の文献・資料を検索・選別して入手することである。また、後者については、研究協力者となる会社法務部関係者の顔ぶれや研究会の運営方法について、経営法友会の事務局担当者と協議を重ねた。 なお、収集した文献を利用して、最近の刑事事件を対象とする法的分析や不祥事の防止策に関する研究成果を、企業法務に関する専門誌などに掲載して、その反応を見ることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
近年の立法動向を調査・検討するため、企業犯罪や金融犯罪に関する国内外の文献を収集するとともに、その分析と動向を解明する作業を進めてきた。 具体的には、最近の書誌などから、現時点における最新の文献として刑事法関連図書と会社法関連図書を研究用資料として購入済である。また、法務担当者とおこなう研究会で配布する予定のコンプライアンス・マニュアル等に関連する資料についても、すでに入手している。これらの作業により、研究会の開催に向けた準備が整ったことになる。 また、研究成果を具体的に発信する場として、主に企業法務の分野で読まれているNBLなどの専門雑誌で発表する予定であり、実際に一部を発表し始めている。また、その他の関連雑誌に論稿を掲載することで、広く刑事規制の在り方を提言している。 しかし、各企業の経営者や法務部門が過去にどのような対応をしてきたかを検証する手段として、法規制の受け手である企業法務の担当者などから事情聴取をする機会を設ける予定であったが、東日本大震災の影響が残る中、時間の調整などがつかず、実際に会合をもつには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、法規制を受ける側の実状を踏まえた制裁の在り方を検討するものであって、従来の行政規制と刑事罰の関係を見直すことを中心とする。したがって、常に、新たな経済状況や国際環境に触発された関係資料やデータの収集を続けていく必要がある。また、これらのデータから得られた情報にもとづく研究成果を踏まえつつ、現在の法務担当者が担っている業務内容と法務担当者に求められるものを示唆することで、必要かつ十分な知見を備えた実務法曹を養成するための教育プログラムも追究してゆく予定である。 その意味では、法務の現場でどのような教育やOJT(オンザジョブトレーニング)がなされてきたか、また、現在どのような課題に直面しているかが検討されねばならない。それによって、法科大学院生と企業法務のマッチングを含む職域拡大にも資することになろう。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、なお進展する複雑な経済状況や国際環境に応じた犯罪現象と頻発する会社不祥事に関する資料やデータを収集するために、与えられた研究費を有効かつ適切に使用する予定であるが、会社法務の現場でどのような現状と課題が見出されるか、また、従来の法制度による刑事規制がどこまで実効性を有していたかについて、主に会社関係者から意見聴取をしたり、今後の方向性を探るための研究会開催に必要な費用に充てることになる。 また、法務職に就くための教育プログラムを検討する過程において、法科大学院教員や法学部教員との検討会などを設けることも予定しており、そのための費用に充てることも考えている。
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