研究課題/領域番号 |
23530076
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
島岡 まな 大阪大学, 高等司法研究科, 教授 (20222036)
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キーワード | フランス / 刑事法 / 刑事政策 / 矯正 / 電子監視 / 性犯罪者 |
研究概要 |
今年度は、資料等からは窺えない実際の現場の声を聞く目的で、フランスでの海外調査を2度行った。1度目は、2012年8月16日~27日で、パリ国立図書館、ダローズ法律書籍店等で資料収集を行なった後、司法省再犯対策局のアニー・ケンセイ局長を訪問し、インタビューを行った。その紹介で、パリ郊外のヴィルパント拘置所を1日訪問・調査し、所長にインタビューを行った。ただ、ここは模範囚を集めた比較的成功している刑務所であり、見学中受刑者と自由に直接話せる点には非常に驚いた。また、司法省少年局のショケ研究部長を訪問し、インタビューを行った。その紹介で、パリ郊外のフルーリー少年刑務所を1日訪問・調査し、、所長や職員にインタビューを行った。こちらは、少年特有の不安定さもあって現場は苦労しているようであったが、ショケ研究部長の話や資料によれば、少年教育の効果は一定程度上がっているようであり、日本にも参考となる知見が得られたと思う。 2回目は、2013年3月19日~31日であり、前回同様、資料収集を行なった後、司法省国際問題担当官のマルティンヌ・ビルラン氏を訪問し、インタビューを行った。再犯対策局のアニー・ケンセイ局長も再訪し、その部下のギイ・カサダモン研究官(社会学者)にインタビューを行い、著書や資料をいただいた。そのほか、パリに出張中だったポー大学准教授ジャン=ポール・セレ氏と面談を行い、性犯罪者の社会復帰についての情報収集・意見交換を行った。 このように、24年度は現地調査により、資料等から読み取ることができない現状に関する一定の知見を得られたことが収穫であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、資料を調べ、読み込むという机上での研究と、実際の状況を見る現地フィールド調査を組み合わせて、概ね順調に研究を進めている。 ただし、24年度は現地調査とその準備が中心であったため、調査後の成果をまとめる作業は25年度前半に行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
24年度は現地調査とその準備が中心であったため、調査後の成果をまとめる作業は25年度前半に行う予定である。 同時に、最終的な確認を行う意味で、もう1度海外調査を行いたいと考えている。24年度は2回ともパリで行ったので、他の地方で行うことも視野に入れる一方、少年と成人刑務所しか見学していないので、高齢者専門刑務所なども見学したいと考えており、司法省再犯対策局とも相談した上で、調査対象地域を決定したいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
3回目のフランスでのフィールド調査を夏から秋にかけて行う予定で、そのために外国旅費を使用する。フランス語の資料、書籍の購入も引き続き行う予定である。 最終的な報告をまとめる作業で、適任者がいればアルバイトとして雇用することもありうるが、適任者がいない場合は研究代表者が行う。
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