研究課題/領域番号 |
23530076
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
島岡 まな 大阪大学, 高等司法研究科, 教授 (20222036)
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キーワード | フランス / 刑事法 / 刑事政策 / 矯正 / 電子監視 / 性犯罪者 |
研究概要 |
今年度は、昨年度に行ったフランスでの2度の海外調査の結果をまとめるべく、資料の読み込み等を行った。 なお、入試委員長としての公務が多忙で適当な時期に海外調査ができなかったため、平成25年度中に研究成果をまとめることができず、平成26年度への延長を願い出た上で、3年間で通算3度目となる海外調査を、2014年2月23日~3月10日まで行った。まず、前半の1週間は、南フランスのトゥールーズ大学を訪問し、法学部のジャック・ラリュー教授(民法)、マリリンヌ・ブルジュマン准教授(同)、フランソワ・デュー教授(刑事政策)、マルク・スゴン教授(刑法)、マリ=エレーヌ・ゴッツィ准教授(刑法)に会い、インタビューを行った。教授たちの意見は異口同音にフランスの累犯者政策は非常に困難を極めているということだった。サルコジ政権のもとで多く法改正があり、厳罰化が進んだが、累犯者の減少にはつながらず、むしろ逆効果ではないかとの疑問も出ており、オランド大統領の下で反省と修正が行われるのではないかとの予想を聞いた。また、フランソワ・デュー教授は、アジャンという町にある国立行刑研究所の所長もしており、車で連れて行っていただき、1日案内していただいた。フランスの刑務所内部の模型やそれを使った刑務官の研修の様子も見学でき、非常に参考になった。 2週間目はパリに移動し、司法省国際問題担当官のマルティンヌ・ビルラン氏を再訪し、インタビューを行った。再犯対策局のアニー・ケンセイ局長も再訪し、インタビューを行い、著書や資料をいただいた。そのほか、国立図書館や書店を訪問し、資料収集を行い、帰国した。このように、25年度も、フランスでの現地調査により、資料等から読み取ることができない現状に関する一定の知見を得られたことが収穫であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画通り、資料を調べ、読み込むという机上での研究と、実際の状況を見る現地フィールド調査を組み合わせて、研究を進めている。 ただし、25年度前半に24年度の調査後の成果をまとめる作業を行う予定であったものの、入試委員長の公務が予想外に多忙で十分にまとめることができず、夏に予定していた海外調査もできなかった。そのため、25年度の後半に成果をまとめる作業を行ったところ、まだ確認を要する点がいくつか出てきたため、研究期間の延長を申し出、認められたため、25年度の入試業務がすべて終了した2月末から3月中旬にかけて最後の海外調査を行った。そのため、今後は調査結果や全体の計画をまとめる作業が残されている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
25年度に行う予定であった成果をまとめる作業を26年度中に行う予定である。 3回のフランスでの現地調査結果をもう1度整理し、各回で集めた資料も見直して、きちんとした報告書を作成したいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は本務校所属研究科の入試委員長を務め、入試業務終了後の2月末まで海外出張をすることができず、年度末の海外出張となった。そのため、クレジットカードによる書籍購入が必要となり、クレジット決済の場合は清算が1月後となるため、平成26年度に会計処理を行う必要が出た。 3月中に外国旅費として大半を使用できるため、残金は数万円となり、それも海外出張中の書籍購入で消化できると考えている。
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