研究課題/領域番号 |
23530081
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
池田 秀彦 創価大学, 法学部, 教授 (60168135)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 刑事訴訟法 / ドイツ |
研究概要 |
ドイツの免責証人(王冠証人、Kronzeuge)の制度に関する研究を中心に行った。2009年7月29日の刑法改正法により新設された、王冠証人規定である刑法46条bの立法趣旨、内容、立法の経緯、立法前史等の研究を進めた。 まず、刑法46条bの立法の趣旨、内容についての研究は次の通り。従前、犯罪関与者による捜査協力に対しては、刑法46条第2項に定められている「犯行後の行為者の態度」として量刑上考慮しうるにすぎなかったが、特に、テロ犯罪、組織犯罪の領域において捜査協力へのより強い動機付けを与える必要があるとの観点から、犯罪関与者で捜査協力を行った者に対して刑の減免を以て報いることを可能としたのが同条であることを明らかにした上で、規定の内容を、立法理由書、コメンタール等を通して詳細に検討した。 次に、立法の経緯、立法史の研究については、次の通り。王冠証人立法の試みが、1970年代に遡り、麻薬犯罪対策の王冠証人規定は、1981年の麻薬法31条に初めて置かれ、テロ犯罪対策の同規定は、1989年に、時限立法として制定された王冠証人法第4章に置かれ、続いて1994年に、組織犯罪対策の同規定が同法第5章に置かれたが、1999年末日を以て同法が廃止され、今回の立法は、これに続くものであること等について検討を加えた。 さらに、王冠証人の立法形式の特色について検討を加えた。王冠証人の立法形式としては、刑法等の実体法に規定を置く方式(刑の減免規定を置く方式)と、訴訟法に規定を置く方式(起訴法定主義の例外規定を置く方式)とがあるが、各種草案、法律では、若干の例外を除いて、実体法形式によっていることを明らかにし、その理由について考察を加えた。。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
王冠証人制度に関する主要な文献は、入手し、検討を加えることができた。同制度に関する論考を既に1本公表したが、今後も公表を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、通信傍受、DNA鑑定、鑑定結果のデータベース化に関する研究を進める。立法の動向、判例、学説、運用の現状と課題について詳細に調査、研究を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は、夏期休暇にドイツで文献の収集を行う予定であったが、事情により行うことかできなかった。平成24年度は、通信傍受、DNA鑑定、鑑定結果のデータベース化のうち、特に通信傍受に関する研究を中心に進める。そのために、夏期休暇と春期休暇を利用してドイツの大学等で文献の収集を行う。このため、海外旅費、文献購入費、複写費を使用する。
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