研究課題/領域番号 |
23530081
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
池田 秀彦 創価大学, 法学部, 教授 (60168135)
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キーワード | 刑事訴訟法 / ドイツ |
研究概要 |
ドイツの免責証人(王冠証人、Kronzeuge)の理論的課題、特に憲法上の課題、刑事訴訟法上の課題、刑法上の課題について検討を加えた。具体的には、憲法上の課題として、基本法3条1項の平等条項、法治国家原理との関係、刑事訴訟法上の課題として起訴法定主義、nemo-tenetur原則との関係、供述の信用性、警察の影響力の増大等の問題、刑法上の課題として責任主義との関係に関する議論を検討した。 次いで、ドイツ刑事手続におけるDNA鑑定について研究を進めた。 まず、立法の変遷を研究し、DNA鑑定に関する立法以前の議論状況、1997年のDNA分析法の立法過程、概要、1998年のDNA同定法の概要、2002年8月6日の改正法の概要、2003年12月27日の改正法の概要を明らかにした。 次に、現行法での鑑定資料の採取、鑑定およびDNA型データベースの運用について調査を進めた。鑑定資料の採取、鑑定については、当該刑事手続での利用のための鑑定の場合と将来の刑事手続での利用のための鑑定の場合に分けて検討した。前者については、被疑者・被告人の鑑定資料の採取、DNA鑑定、第三者の鑑定資料の採取・鑑定、痕跡資料の採取・鑑定、鑑定資料の保存・廃棄の諸要件および議論状況について明らかにした。後者については、被疑者・被告人、有罪判決を受けた者等の鑑定資料の採取・鑑定、鑑定資料の廃棄の要件を検討した。DNA型データベースについては、将来の刑事手続での利用のために収集されたDNA型情報の保存および当該刑事手続のために収集されたDNA型情報の保存に関して詳細に検討を加えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
王冠証人制度に関する論考を公表した。DNA鑑定に関する主な文献を入手した上、検討を加え、論考を1本公表した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、通信傍受に関する研究を進める。立法史、判例、学説、運用の現状と課題について詳細に調査、研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定したほど、通信傍受に関する文献を収集することができなかった。そこで、夏期休暇を利用してドイツの大学、国立図書館等で文献の収集を行う。このため、海外旅費、文献購入費、複写費を使用する。
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