ABLにおける流動財産担保の効力の帰趨について、とりわけドイツ法を比較法の対象としたことによって、ドイツ法の下においては、譲渡担保設定者の経営が順調に推移している局面においては、流動財産担保の法的構成から演繹的にその効力を定めつつも、処分権限の授与によって柔軟に流動性を確保しているのに対して、設定者の経営状態が悪化し、倒産局面に入った場合には倒産管財人による譲渡担保権の実行を経て単に優先的な弁済を受けることができるにすぎないという形にいわば担保権の法的性格付けに変更が加えられていることが明らかになった。この成果は、わが国のABLにおける流動財産担保の効力について大きな示唆を与えるものである。
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