研究課題/領域番号 |
23530089
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
早川 眞一郎 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (40114615)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 子の監護 / ハーグ国際私法会議 / ハーグ子奪取条約 / 扶養義務の準拠法に関する法律 |
研究概要 |
子の監護をめぐる問題((a)両親間での子の奪い合い、(b)親権者・監護権者の決定(面接交流に関する決定を含む)、および、(c)子の扶養義務)の全般につき、文献を通して基礎的な調査を行ったのに加えて、(a)両親間での子の奪い合いに対応するための条約である、ハーグ子奪取条約(1980年)に関して詳細な情報収集と検討を行った。具体的には、この条約の運用状況や問題点を協議するためのハーグ国際私法会議・特別会合(平成23年6月と同24年1月に2回に分けて開催された)にオブザーバーとして参加して、最新の情報を直接収集し、同会議事務局の担当者及び各国の代表等との議論を通じて、この条約について検討することができた。また、それと並行して、今年度は、日本がこの条約に加盟するための準備にも参画する機会を得た。具体的には、法制審議会のハーグ条約(子の返還手続き)部会に委員として参加し、条約の国内実施のための法律案策定に携わった。その過程で、本研究のための貴重な情報を得ることができた。なお、この法律案は平成24年3月に、法制審議会の承認を得て、内閣から国会に、条約加盟の承認申請とともに、法律案として上程された。 以上のような情報等をもとに検討を進め、ハーグ子奪取条約に関して、後掲の研究発表欄に記載するいくつかの論文・報告を公表した。また、(c)子の扶養義務に関しては、これまでの研究成果の一端をまとめる形で、後掲の研究発表欄に記載する注釈を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
子の奪い合いの問題をめぐっては、ハーグ子奪取条約に関して、ハーグ国際私法会議特別委員会での情報収集、法制審議会での検討等を通じて、十分な情報収集をおこなうことができ、暫定的な内容ではあるがそれなりの論文・報告も公表することができた。その他のテーマについても、基礎的な調査はできたものと考える
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、(a)両親間での子の奪い合い、(b)親権者・監護権者の決定(面接交流に関する決定を含む)、および、(c)子の扶養義務の各問題全般にわたり、国際的な動向と日本法の動向の双方に関して、文献のさらなる渉猟とその整理・読解を通じて、検討を進めるとともに、析出された問題点等について、実務の状況に関する情報を収集し、将来の日本法の設計にあたって問題となりそうな諸点について、検討をおこなう。
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次年度の研究費の使用計画 |
購入を予定していた文献の一部の刊行が遅れるなどの事情により、若干の次年度使用予定研究費が生じた。次年度も、国際会議等に積極的に参加するなど、情報収集・意見交換の場を活用して、予定通りの研究計画遂行につとめる。
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