第1に、平成23年度および24年度に引き続き、ドイツにおける一般平等取扱法の制定過程及び制定後の議論状況に関する調査・検討を行った。 第2に、以上のドイツ法及び日本法の調査・検討を踏まえて、日本における平等権と人格権に関する議論状況を調査・検討することにより、私法関係における差別禁止法理の理論枠組みの検討を進めた。その研究成果の一部を、平成24年11月に国際人権法学会にておこなわれたシンポジウム「差別表現・憎悪表現の禁止に関する国際人権法の要請と各国の対応」にてコメンテーターとして招待された際に発表した後、平成25年10月に、「差別表現・憎悪表現の禁止と民事救済の可能性」と題する論文として公表した。 第3に、内閣府の障害者政策委員会禁止部会において行われた「障害を理由とする差別の禁止に関する法律」の制定に向けた審議に委員として参画した後、平成25年に成立した「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」をもとに、私法関係における差別禁止法理の理論枠組みの構築と救済法理のあり方について検討を進めた。その成果の一部として、平成24年1月14日に内閣府で開催された障害者差別解消関係府省連絡会議において、「私人間における障害を理由とする差別禁止違反の判断構造」というテーマで講演を行い、差別解消に関わる各省庁の担当者と意見交換を行った。その成果は、同名の論文として、近日中に公表する予定である。
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