事務管理法の歴史的、比較法的特色が、本研究着手前に比べ、はるかに鮮明となったと思われる。事務管理法制度は法定債権の一種として安定的内容を必ずしも有するものではなく、他の法制度と同様に、歴史的、体系的に、個々の法秩序の中で,現時点で、どのような機能を分担させるかの評価に依存する部分が多いことが明らかとなった。その評価を必要とする諸論点の析出、意見の対立状況の析出も行うことができた。 さらにいえば、そのような作業の延長線上に、大陸法圏の特色ともいえる、三種の法定債権の並存も、組換え、再構成による機能最適化が可能であることをも示唆するものとなった。その感触も具体的素材を通して、より確かなものとなった。
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