研究課題/領域番号 |
23530104
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
直井 義典 香川大学, 法務研究科, 准教授 (20448343)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 目的物の変動 / 物上代位 |
研究概要 |
平成23年度は、我が国において共有財産分割に際して全面的価格賠償が認められる結果として償金請求権の支払確保が問題となっているとの認識を踏まえたうえで、フランスにおける不分割財産分割に関する状況を検討した。そこでは、2006年の法律によって、協議分割が認められる領域の拡大、分割の際に求められる平等性とは価値上の平等性であること、分割延期・不分割の維持が認められる目的物の拡大傾向、過剰損害を理由とする分割取消の廃止がなされたことが確認され、また、清算金支払いが必要とされる場合にも請求権には先取特権が付与されていることが確認された。また、全面的価格賠償は否定されている子も確認された。また、集合物の所有権留保に関するフランスの議論についても検討を進め、2006年の担保法改正により2369条で集合物の所有権留保が認められた結果、同種・同質の目的物上への担保権実行が可能となった。担保目的物の特定性という点でも、わが国の集合物譲渡担保とは異なった特定の仕方がなされているものと考えられることから、論文としてまとまってはいないものの、示唆が得られるのではないかと考えている。このほか、自動車購入に際して立替払いをした者の有する留保所有権が民事再生手続においていかなる効力を有するのか、ならびに、流動集合動産譲渡担保目的物が滅失した場合に譲渡担保権者は保険金請求権に対して物上代位権を行使できるのかにつき、判例の分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は集合物を中心とした所有権留保に関するフランスの議論を整理することを1つの目的としていたが、2006年改正法の内容ならびにそれをめぐる教科書的な記述の整理はほぼ完了し、改正法以前の破毀院判例の検討も行った。また、共有持分が償金請求権に変容した場合についてのフランス法の議論を検討し論文としてまとめることができた。このほか、倒産手続と担保権の処遇との関連について2つの最高裁判例を分析することができた。
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今後の研究の推進方策 |
フランスにおける集合物所有権留保に関する議論を19世紀以来の単体所有権留保等に関する議論と関連付けて論文としてまとめることが第一の課題となる。それと並んでドイツにおける権利質目的物に関する検討を進めること、物上代位に関する我が国の議論を物上代位の成立レベルと行使要件レベルで分けて再検討することが研究課題となる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は前述した推進方策に沿う形で、各国の教科書・体系書類ならびに論文の詩憂愁を進めていくこととなる。
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