研究課題/領域番号 |
23530106
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研究機関 | 尚美学園大学 |
研究代表者 |
崔 光日 尚美学園大学, 総合政策学部, 教授 (60360880)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 民法 / 製造物責任法 / 中国 / 韓国 / 台湾 |
研究概要 |
今年度には、2012年2月4日から8日まで台湾(台北)、3月4日から8日まで韓国(ソウル)、3月12日から20日まで中国(長沙、北京、延吉)を訪問して、図書館と書店などで図書・資料を収集するほか、次のような研究調査を行った。 台湾では、消費者保護法・製造物責任法の専門家である国立台北教育大学の郭麗珍教授、東呉大学法学院の孫森エン教授(元司法院大法官)、最高法院の阮富枝裁判官をインタビューして、製造物責任法の現状と最近の動向および裁判実務における製造物責任法の運用状況についての調査をした。 韓国では、不法行為法・製造物責任法の専門家である東国大学校の延基栄教授(元製造物責任法起草委員会委員長)、延世大学校の金相容教授をインタビューし、さらに両教授を通じて、製造物責任法研究の新鋭である延世大学校の朴東チン副教授、慶煕大学校の全京雲教授と朴秀坤副教授、韓国消費者院政策研究室の朴煕珠研究委員、国会立法調査処の李健黙立法調査官をインタビュ―でき、製造物責任法の現状と最新の動向、現在進行中である民法改正作業における製造物責任法に関する議論の状況および判例の展開状況について調査をした。 中国では、製造物責任の新鋭研究者である(製造物責任法の最新著書のある)湖南大学法学院の陳ロ副教授、不法行為法の専門家でもある最高人民法院の陳昌傑裁判官、劉竹梅裁判官をインタビューして、製造物責任法の現状と最新の状況および裁判実務における製造物責任法の運用状況について調査をした。また、延辺大学法学院の民事法担当の教員(6名)、延吉市人民法院の裁判官(5名)とそれぞれ座談会を開いて、地方における製造物責任法の研究と運用の状況について調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の調査を通じて、中国、韓国、台湾の製造物責任法の基本状況を把握し、今後の研究のための基本資料を入手でき、次の段階での研究課題(問題点)を明確にし、現地の共同研究者との協力関係の確認ができた。 中国については、製造物責任法の基本制度(責任要件、証明責任の分配など)の解釈と実務の運用において、いまだに共通な認識が形成されず混乱しているところが少なくないことが分かった。 韓国については、予想以上に豊富な資料と情報が入手でき、製造物責任法の改正がかなり具体的に議論されていることも分かった。 台湾については、日本と韓国におけるような製造物責任法の「運用不足」の問題がなく、判例により製造物責任法の解釈(製造物責任法の適用範囲など)に新しい展開があることが分かった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進においては、基本的には本課題応募時の研究計画に沿って進めるが、今年度の研究の進捗状況(基本状況の確認と課題(問題点)の明確化ができたこと)から、25年度に予定されていた対象国の研究者を招いての研究会(またはシンポジウム)を前倒して24年度(8月~9月または2月~3月の間)に行いたい。 そのために関係者との調整を行っているが、調整ができなかった場合には、当初の計画通りに24年度には引き続き現地調査を行い、25年度に日本で研究会(国別)またはシンポジウム(全対象国共同)を行う予定である。個別の国とだけ調整ができない場合には、その国については現地調査を行い、他の国とは日本で研究会を行うこともありうる。いずれの場合も初年度の現地調査で得られた研究成果に基づいて、特定の問題に焦点を当てての現地調査または研究会にする。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の研究費は、概ね計画通りに使用でき(物品費余剰約5万円、旅費超約7万円、人件費・謝金余剰5万円)、次年度も課題応募時の研究費使用計画と交付申請時の助成金配分額に基づいて、研究費を使用する。 具体的には、物品費(図書・判例集などの資料とプリンタの購入)に29万円、旅費(現地調査または対象国研究者の来日旅費)に54万円、人件費・謝金に5万円、その他に2万円を使用する。
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