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2011 年度 実施状況報告書

民事紛争処理過程における「起動責任」の研究

研究課題

研究課題/領域番号 23530108
研究機関國學院大學

研究代表者

西川 佳代  國學院大學, 法学部, 教授 (00276437)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード民事法学 / 民事手続 / 民事執行法 / 紛争処理
研究概要

1,本研究の端緒となった起訴責任論に関してBetterman,Die Vollstreckung des Zivilurteils in den Grenzen seiner Rechtskraft,および、Bettermann以降のドイツにおける起訴責任理論の展開を調査した。Bettermannの起訴責任論は、既判力の範囲と執行力の範囲のズレについて、「抗弁事由」が希少であることから事後的に正当性を主張する手続を債務者に負担させても良いとの観点から論じられていたが、この転換が実体的要素から導かれるのか、あるいは逆に「起訴責任」の分配が正当であるから実体権が確定的でなくても転換を認めるのかという点について、起訴責任論を再検討した。 また、起訴責任理論が妥当するとされている執行法の各分野につき文献を調査し、承継執行、執行文関連訴訟、請求異議訴訟、将来給付の訴えなどをピックアップして重点的に扱うこととした。2,起訴責任論は、民事執行分野の様々な場面で、実体的請求権の存在やそれへの依存関係だけでは説明のできない執行を、事後的な「起訴責任」負担という手続的概念を媒介として正当化する論理と考えられる。 そこではi)次の手続的負担を、ii)どちらの当事者に、iii)どの程度の重さ(訴訟なのか、異議なのか、など)で与えるべきかという3点が問題となり、これは手続負担に関する「当事者間の衡平」という観点から検討されるべきであるため、「手続的正義」に関する議論を参考として、「衡平な手続負担」を検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

起訴責任をめぐる文献収集および基礎的理論分析については、計画通り進行している。24年度に向けての実態調査の準備についても、ケースのピックアップ等は終了し、パイロット調査については多少の遅れは見られるが、概ね計画通りに進展している。

今後の研究の推進方策

本研究の問題関心は、「起訴責任」理論は執行分野にとどまらず紛争処理過程全体に適用可能なのではないかという点にある。その理論的位置づけを明確にするための準備作業として、いくつかのケースをとりあげ、紛争過程全体にわたり当事者がどのような紛争行動をとったのかを把握し、その上で実態としての「起動責任」の発現を検証したい。 今後は引き続き、理論的研究を行うと共に、これまでの研究により明らかになった概念枠組みの検証のため、承継執行、執行文関連訴訟、請求異議訴訟、将来給付の訴えなどについて、公刊された判例を手がかりとして訴訟、執行のみならず、紛争処理過程全体を調査できるケースをピックアップし、代理人弁護士等に面接調査をする。

次年度の研究費の使用計画

司法制度、民事手続、法社会学や手続的正義などの基礎法学に関連する書籍の購入が必要である。また、それらをテーマとする学会や研究会への参加および資料収集(海外を含む)のため、旅費を必要とする。 次年度の研究の中心となる実態調査に関しては、旅費のほか、ボイスレコーダーなどの機器の購入費、調査協力費、および収集した文献の整理、pdf化、ファイリングや、実態調査の際の補助者雇用のための費用の使用が見込まれる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 図書 (1件)

  • [図書] Comparative Studies on Enforcement and Provisional Measures2011

    • 著者名/発表者名
      Rolf Stürner and Masanori Kawano
    • 総ページ数
      397頁(うち,Problems of Public Sale in Japan,103頁-112頁
    • 出版者
      Mohr Siebeck

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公開日: 2013-07-10  

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