民事紛争処理過程の一環としての民事執行を対象として、執行の実体的正当性を保障する概念としての起訴責任(訴えに限らず異議等の行動を起こす責任という意味で「起動責任」)概念を検討し、債権者と債務者におけるその衡平な分配について考察した。 特に、従来証明責任の分配の観点から単純執行文付与で可能であるとされた過怠約款による執行については、事前に執行力を公証するという考え方では説明できず起訴責任分配によって正当化が可能である。 また、過怠約款による執行の場合、単純執行文付与により債務者が事後的に請求異議の訴えを起こす負担を負うのは、手続分配の衡平の観点からは問題が残るということが明らかとなった。
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