現在、判例・学説は、公法上の[筆界]と民法上の所有権の範囲[所有権界]、そして占有による事実的支配[占有権界]は異なる概念を有する別箇の制度と解する。したがって、境界、所有権界、占有権界は、各界の法制度に則って個別に争うことが可能である。しかし、現実的には筆界と所有権界、占有権界は一致することが一般的である。問題は、これらの制度と現実が乖離している点にある。そこで、問題解決のためにまず、第一に、公法上の筆界の争いは私法上の所有権界の争いと捉えること、第二に、現在実施している地図整備事業を第一の視点に立って進めること。以上の二つの視点から関連法制の改正を行うことを提言する。
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