研究課題/領域番号 |
23530114
|
研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
草鹿 晋一 京都産業大学, 法務研究科, 教授 (30327118)
|
キーワード | 民事訴訟法 / 民事執行法 / 民事上告審 / 仮執行宣言 |
研究概要 |
1 研究の具体的内容 当該年度は、昨年度に引き続きデータベースの構築,分析を進めた。なお、関連するテーマとして、平成24年9月29日にエル・オオサカで開催された関西民事訴訟法研究会において、「仮執行宣言に基づく債務の履行とその効力 ー 最高裁平成24年4月6日判決を契機として ー 」というテーマで口頭報告をおこなった。同報告では、仮執行宣言が付与された判決後になされた債務の履行の効力について、これまで積み重ねられてきた最高裁判所 の裁判例が、強制執行に関する法規や裁判例と相互に参照すると齟齬を来していることを指摘し、さらに民事訴訟法(判決手続)と民事執行法(強制執行手続)との間の規定の解釈や運用にも齟齬が生じていることを明らかにし、従前の解釈についても現在の立法についても見直す必要があるとの指摘をした。研究会では従来の判例を見直すべきとする私見に対する異論もあり、現行法上の限界もある中で、どのように提言をまとめるべきか呻吟しているが、早期にその成果を公刊する予定である。 2 研究の意義および重要性 上記報告は研究計画を実施中に裁判内容を分析する過程で明らかになった問題である。判決手続に関する事項と執行手続に関する事項とがそれぞれ別個のものとして判断されてきた結果,両者に齟齬が生じているという点で、最高裁判所の職権行使のあり方に疑問を呈するものであるが、立法の手当を要する可能性を示唆するものであり、関連研究として意義があるものと考える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1 遅れの状況とその理由 本年は、昨年に引続き、過去の研究による基礎資料をデータベース化し、さらにアップデートすることが目標であったが、昨年度末に共同研究として申請していた科研費(A)(研究課題:司法サービスの新たなパラダイムとその展開-質を重視した司法過疎対策の研究。研究分担者)が追加採用となり、その関係で震災、津波による被災地へ急遽調査に向かうことになり、本助成研究を一時的に中断せざるを得なくなった関係で、進行に齟齬が出たものである(なお、上記調査の成果は6月9日に実施された日本法政学会シンポジウムにおいて口頭報告したほか、今年度共同研究の成果として公表する予定で執筆中である。)。 2 今後の見通し 上記の理由で若干予定より遅れているとは言え、関連する裁判例について口頭発表を実施するなど本研究課題に関する研究も実施しており、最終年度である今年度末には成果を公表すべく準備を行っている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は以下のとおり。 (1) 昨年度作成した基礎データベースを更新し、精度を高める。 (2) 分析結果について9月以降に開催される関西民事訴訟法研究会等において最終報告をおこなう。 (3) 報告に対する会員の意見をふまえ、今年度中に研究成果を取りまとめ、産大法学において公表する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
|