研究課題/領域番号 |
23530123
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
須川 賢洋 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 助教 (40282967)
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キーワード | デジタル・フォレンジック / eディスカバリー / 電子証拠 / 証拠保全 / 知的財産 |
研究概要 |
研究二年目は、基礎研究と一部の発展的な研究を行った。 「不正アクセス禁止法」や「著作権法」が改正されたため、それらとの関連についても検討を行ってみた。特に不正アクセス禁止法の適用範囲の拡大や、海賊版コンテンツのダウンロード刑罰化、DVDリッピングの禁止などは、デジタル・フォレンジック調査を要する行為として今後関わってくると思われる。 さらに発展的研究を行うための予備調査的な研究成果発表を、平成25年3月15日の「電子情報通信学会 技術と社会・倫理研究会(SITE)」にて『知的財産分野へのデジタル・フォレンジックの利用可能性に関する一考察』として発表および論文掲載を行った。 また、申請者が参加している「デジタル・フォレンジック研究会」にて『証拠保全ガイドライン』の改訂を共同で行い、『証拠保全ガイドライン(第2版)』として平成24年7月に公開した。平成25年度中には、さらに改訂を加えた第3版が公開される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「知的財産とデジタル・フォレンジックの関係」の基礎的な研究、証拠保全ガイドライン改訂にあたっての法的視座からの考察などの研究の進展があった。またIS0:27000(デジタル・エビデンス)との関連に関してもある程度の検討をした。しかしながら、これらに重点をおいたため、デジタル・フォレンジック技術やツールとの法律問題の関係や、専門家からの聞き取り調査等は多少遅れている。3年目はこれらに重点をおくつもりである。 問題点の整理などは順次進んでいるので、全体としては一定量の進展が見られ、概ね順調と言える。
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今後の研究の推進方策 |
まずは以下の三点について引き続き研究を進める。 (1)デジタル・フォレンジックツールを実際に使ってみての調査。調査の後に訴訟などが行われる場合を想定した上で、ツールを実際に使ってみて、国内での法制度との間に問題がないかと検証したい。また、これらのツールを扱うの者が技術者であることを前提に、後々の法的な手続きに問題が出ないようにするにはどのような手順を取る必要があるかの資料ともする。前年度からの継続。 (2)平成24年度 改正著作権法との関連。また改正部分だけでなく、知的財産とデジタル・フォレンジックの関連に関してさらなる調査。 (3)ISO:27000との関連性の研究。これも継続であるが、現在、英米より、更なる標準化として「eディスカバリー」を規格化する案が浮上している。この動向を踏まえつつ研究を行いたい。 また、この1年で「サイバー・テロ」、「サイバー・戦争」が急速に現実味のあるものとなった。よって、デジタル・フォレンジックをこれらの予防に使うことが必須であると思われる。将来の発展的研究の備えとしてその為の研究も行っておきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記「今後の研究の推進方策」で書いたとおり、引き続き、デジタル・フォレンジックツールの検証、スマート・デバイスへの影響などを調査研究の対象とする予定である。さらにサイバー・テロのような大規模攻撃の際のデジタル・フォレンジックのあるべき姿についても考察を行いたい。よって今期は、特に技術者を中心とした専門家との意見交換や聞き取り調査の為に経費を多く使うことを予定している。 また、調査に必要な様々な小型のデジタル・デバイスなども追加購入する予定である。
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