研究の最終年度ということで、今後を見据えた総合的な考察を行った。 さらにH26年度は期せずして、「ベネッセ顧客名簿持ち出し事件」という一千万件以上の規模での個人情報漏洩事件が起き、このような自体も含めたデジタル・フォレンジックの運用を考える必要が生じた。この事件は企業にとっては、顧客名簿という不正競争防止法にて保護および漏洩時の罪状が記載してある「営業秘密」の不正取得にあたる。つまりは、このベネッセ事件のような場合の「営業秘密」の不正持ち出しをチェックするためにデジタル・フォレンジックは非常に有効に機能するはずである。そのような提言を、11月21日開催された「情報処理学会・第66回電子化知的財産と社会基盤研究会(EIP)」にて、『営業秘密保護要件の再考察』というタイトルにて論文発表を行っている。 そして、申請者が参加している「デジタル・フォレンジック研究会」の会員を中心に『デジタル・フォレンジック事典』(改訂版)をH26年4月に日科技連より出版し、申請者も関連法の解説を行っている。 また、同じく同研究会にて共同で、実務担当者向けのデジタル・フォレンジック実施マニュアルとして『証拠保全ガイドライン』(第4版)をH27年3月に公開した。
|