研究課題/領域番号 |
23530127
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
今村 哲也 明治大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (70398931)
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研究分担者 |
安藤 和宏 明治大学, 公私立大学の部局等, 講師 (00548159)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 著作権 / 電子書籍 / 著作隣接権 / 出版社 / 出版者 |
研究概要 |
本研究は具体的に3つの内容から構成される。まず,研究の背景を整理する調査研究として,(1)出版物の権利関係をめぐる現状を整理し,これにより電子書籍の台頭によって顕在化した問題点を指摘して,次年度以降の研究調査の方向性をより明らかにする。次年度以降は,(2)出版者の権利・出版権の設定範囲の拡大の是非を検討し,立法論的な示唆を提供するとともに,(3)電子書籍の普及に向けた権利処理円滑化の方策を検討して,出版物に関する権利処理に係る集中管理モデルの構築等を提案することを目標とする。 平成23年度は,主として(1)「出版物の権利関係をめぐる現状の整理」を行うこととし,出版物の権利関係に関する最新の文献や情報と従前収集した資料を分析し,成果を公表した。具体的には,以下の計画・方法によって,研究を実施した。 (1)資料収集・分析:資料収集として,出版物の権利関係をめぐる現状を整理しつつ,電子書籍の台頭により顕在化した問題点を指摘して,次年度以降の研究調査の方向性をより明らかにすることを目標として作業を行った。 (2)海外調査:計画では,最新の米英の情報入手のため海外調査を行うこととした。米国については,資料に基づいてこれを行い,英国については現地で資料収集を行った。 (3)中間報告:論文の執筆や研究会等での報告を通して,政策立案や学究活動の議論の糧となるよう努めた。具体的には,研究会や学会での報告を行うとともに,専門誌に論点をまとめて,現段階の私見を交えた論文を公表した。 公表論文では,出版社の保有するべき権利について,設定出版権および版の保護に関する議論を概観したうえで,出版者に固有の権利を認めている立法例やライセンシーに一定の訴権を付与する立法例を紹介することで,出版者の保有するべき権利に関する議論に対して比較法的示唆を得た。そして,最後にこの問題に対する現段階の私見を述べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
昨今,電子書籍端末が普及したことに伴って,電子書籍の需要が著しく拡大することが予想されており,著作権法がこれまで前提としていた出版物をめぐる環境は大きく変化しつつある。本研究はこうした現代的な環境の下で,電子書籍の普及に際して問題となる著作権法上の課題を掲げて,それに対する調査と検討を行うことを目的としている。論点は多岐にわたるが,研究計画書では,具体的な論点として,(1)出版物の権利関係をめぐる現状の整理,(2)出版社の権利や出版権の設定範囲の拡大の是非,(3)電子書籍の普及に向けた権利処理の円滑化の方策(権利者不明著作物や集中管理団体の問題を含む)について,出版社へのヒアリング等の実態研究や,諸外国の現状や制度の状況を調査し,これらの課題の解決に向けた立法論・解釈論を展開することを掲げた。 平成23年度は,主として(1)の論点を整理することを目標とした。自己評価としては,学会報告や論文の公表および海外調査によって,おおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の内容は主として以下の3つから構成されている。まず,研究の背景を整理する調査研究として,(1)出版物の権利関係をめぐる現状を整理する。これにより電子書籍の台頭によって顕在化した問題点を指摘して,次年度以降の研究調査の方向性をより明らかにする。この点については,平成23年度の研究において行った。そこで,次年度以降は,(2)出版者の権利・出版権の設定範囲の拡大の是非を検討し,立法論的な示唆を提供するとともに,(3)電子書籍の普及に向けた権利処理円滑化の方策を検討して,出版物に関する権利処理に係る集中管理モデルの構築等を提案することを目標とする。調査研究の具体的な方法としては,国内外の文献調査や有識者へのヒアリングに基づく比較法的考察を含む調査研究を中心とし,電子出版にかかわる出版社等からの見解についても情報を収集していきたいと考えている。 なお,研究開始後の社会的な状況の変化として,文化庁が実施していた「電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議」の結果報告において,出版者への著作隣接権付与について継続審議扱いとされ,これに伴って,民間レベルでも幾つかのフォーラにおいてこの問題に関する各種の検討が行われている。本研究では,これらの議論の状況についても検証の対象とする予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は,初年度の収集資料の分析や海外調査により収集した研究成果を踏まえて,上記(2)出版者の権利・出版権の設定範囲の拡大の是非を検討し,立法論的な示唆を提供するとともに,(3)電子書籍の普及に向けた権利処理円滑化の方策を検討することを目的として,以下の計画・方法によって研究を実施する予定である。(1)資料収集・分析:初年度に収集した資料の分析の他,引き続き,追加的な資料収集とそれらの分析を行う。資料の整理や収集等を効率よく行うためアルバイトを1名雇用する。(2)海外調査:海外調査では,初年度の調査を通して共同研究を行った研究者との間で論点に関する意見交換を行う。(3)中間報告:中間整理として,論文の執筆や研究会での報告を通して,成果を公表する予定である。 なお,平成23年度の研究費のうち,翌年度に使用する予定の研究費が発生したが,これは年度末(3月下旬)の海外出張にともなって起こった状況であり,科研費の基金化に支払いを翌年度に行うことができるようになったことを活用した手続き上の問題にすぎない。研究の実体面との関係で,翌年度以降に請求する研究費の使用計画に影響を与えるものではない。
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