生命倫理における死の重大二局面として、延命治療中止と積極的安楽死の問題(終末期法)をフランス法の伝統原理との関係を中心に据えて研究した。特に、上院で積極的安楽死三法案が上程され採決にまで行く事態に至り、その立法過程・審議過程を分析し安楽死の賛否論を、またフランスではオランダ等の安楽死立法とは違って、権利としての積極的安楽死であったこと等を明らかにして、フランスにおける「死ぬ権利」主張の台頭論を検討した。なお、治療中止と積極的安楽死の問題および臓器摘出(同意推定法)の問題との双方を視野に入れる計画であったが、進展を見せない後者よりも進展が一層顕著であった前者により重点を置いた研究展開となった。
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