研究課題/領域番号 |
23530140
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
北村 純 群馬大学, 社会情報学部, 准教授 (70297175)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 政治学 / 行政学 / 行政史 / 公文書管理 |
研究概要 |
研究計画の3つの柱に沿って、以下の通り調査研究を実施した。1 行政史的概観:(1)旧行政管理庁(旧総務庁)による各省庁に対する総覧的な文書管理行政推進の経緯、(2)国立公文書館創設前史の2つの課題を中心に、文献資料の探索および精査を行った。2 中央省庁のサーベイ:官僚OBへの聞き取り調査を開始した。3 官民対比:戦後の稟議制研究を行政学・経営学両面からフォローする作業を実施した。1(1)に関しては、文献資料による推移の跡づけを課題とし、1(2)に関しては、欧米からの制度輸入のための調査・審議の主要な論点を拾い出す作業を行った。2に関しては、官僚OBへの取材調査から、資料の読解のみではわかりにくい文書管理行政に対する実務者の視点をご教示いただいている。3に関しては、関連の論文・著書など文献研究中心で論点整理を行った。これらの作業において、一方で資料の欠落(中央省庁の過去の資料がすでに廃棄されている現状)に改めて直面することになったが、他方で(資料の欠落を含みつつも)中央省庁の文書管理行政の推移を見るうえで特徴となる官僚機構の行動様式について注意すべきポイントを考察しているところである。以上から、旧行政管理庁(旧総務庁)による総覧的な文書管理行政の推進と国立公文書館設立前後におけるアーカイブズ行政の進展においては分立的な発展経路が浮かび上がり、両者間に十分な連絡調整が見られないこと、官僚機構の文書管理観(文書管理に対する見方)そのものが、文書管理行政のあり方に影響を与えていると考えられること、などが考察して浮かび上がってきている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度については、研究計画の3つの柱に沿って以下のように予定していた。 1 行政史的概観:旧行政管理庁(旧総務庁)の各省庁に対する総覧的な文書管理行政の推移の解明、国立公文書館設立前後の経緯の論点整理。2 中央省庁のサーベイ:予備調査としての聞き取り調査を実施し、次年度以降の本格調査に備える。3 官民対比:文献調査および研究者および企業を含めた聞き取り調査の準備。 ターゲットとした課題に関して、資料の欠落をどのように研究上カヴァーできるか、年度途中苦慮した時期があり、リサーチペーパーの作成までは至らなかったが、アクセス可能な基本資料の探索・精査に集中して取り組むことができた。また、中央省庁のサーベイを本格的に実施するためには、もう少し予備的な取材が必要と思われるが、関係者への取材調査で次のステップ、更なる取材調査への手がかりは得ることができた。官民対比の面で官民の組織における稟議制の文献調査は進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
従前の計画に沿って、平成24年度は以下の通りとしたい。 1 行政史的概観:文献調査の継続、聞き取り調査を実施し、この課題に関して研究報告の執筆を開始する。 2 中央省庁のサーベイ:官僚OBへの聞き取り調査だけでなく、ターゲットとする複数の官庁の現役OBへの聞き取り調査を開始し、調査内容の整理を経て考察をまとめる。 3 官民対比: 文献調査の継続、また、文書管理に関して官庁だけなく、企業等にも聞き取り調査を実施する。これにもとづいて、官民・比較対照の作業を行う。 リサーチペーパーというかたちで試論的に調査内容を整理していくことが、とくに年度後半の課題となる。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額4,143円は注文文献に関して版元における重版待ちの状態となり納品が年度内にできなくなったためである。 次年度の研究費に関しては、従前の計画に沿って使用することとしたい。物品費10万円、旅費10万円、その他10万円の合計30万円を予定している。とくに研究推進の核となる聞き取り調査のための使用を積極的に展開する。
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