本研究の目的は、行政評価の普及とともに自治体において急速に導入されつつある「政策の優先順位づけ」システムに着目し、自治体の公共政策形成における「政策の優先順位づけ」の意思決定構造を解明することを目的するものである。 平成26年度は、前年度(平成25年度)に実施した2自治体へのインタビュー調査及びアンケート調査の結果と、平成24年度に実施した2種類の全国自治体アンケート調査(行政経営に関する全国自治体調査A票・B票・C票、施策評価での優先順位づけ・優先度づけに関する全国自治体調査)のデータを組み合わせ、「政策の優先順位づけ」に至る意思決定過程とその後の予算編成に至る過程のそれぞれの段階で、価値基準を異にする各主体の間で決定調整のためにどのようなコミュニケーションが行われ、各主体がいかなる役割を果たしているか等について分析した。 その結果については、国・行政のあり方に関する懇談会(内閣官房行政改革推進本部事務局、2014年5月)において「政策の優先順位づけー“あれもこれも” から“あれかこれか”への試み」として報告するとともに、日本公共政策学会2014年度研究大会 (2014年6月)において「施策評価における事業間の優先順位づけの実態分析―都市自治体行政を対象に」と題して口頭発表を行った。さらに、行政評価セミナー(行政管理研究センター主催)、ポストNPM研究会、第3回自治体政策経営研究会などでも成果を報告した。 また、論文「施策評価の理論と実際」(『季刊評価クォータリー』第33号、pp.41-56、行政管理研究センター、2015年4月)や論文「人口減少時代の政策選択―優先順位をいかにつけるか」(『住民行政の窓』第415号、pp.2-17、2015年5月)を執筆した。
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