研究課題/領域番号 |
23530153
|
研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
佐藤 真千子 静岡県立大学, 国際関係学部, 講師 (40315859)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | フリーダム・ハウス / ヘルシンキ・ウォッチ / 自由 / 人権 |
研究概要 |
初年度は、ニクソン政権期からカーター政権初期の時代にフリーダム・ハウスが重点的に行った主張や活動を解明するために、主にフリーダム・ハウスの一次資料を検証した。なかでも以下の3点は、米国政府のベトナム戦争政策を支持してきたフリーダム・ハウスの活動姿勢の変化を特徴づける要点と考えられる。第1は、1975年に欧州安全保障協力会議(CSCE)で採択されたヘルシンキ最終合意についての「ヘルシンキ・ウォッチ」キャンペーンであり、第2は、1969年に国際連合教育科学文化機関(UNESCO)が提唱した「新世界情報通信秩序」に端を発する「情報の均衡な流通」に対する問題提起であり、第3は、カーター政権による「人権」の定義についての議論である。これらに対するフリーダム・ハウスの取り組みは、その後、諸外国の民主化を支援する活動に乗り出すことにつながる背景要因として示すことができるのではないかと考えている。 さらに初年度はカリフォルニア大学ロスアンジェルス校に出張し、チャールズ・E・ ヤング図書館においてノーマン・カズンズ・ペーパーズの文献調査を行い、フリーダム・ハウスと1960年代半ばに決別したノーマン・カズンズの思想を解明する作業に着手した。カズンズの思想への接近は、フリーダム・ハウスの思想の本質を導き出すひとつの糸口になると予想されるからである。 これまでの研究成果として「フリーダム・ハウスとノーマン・カズンズ」『国際関係・比較文化研究』第10巻第1号(2011年9月)にまとめたほか、アメリカ学会第45回年次大会において「人権外交の展開におけるフリーダム・ハウスの役割-カーター政権を中心にー」の発表報告(2011年6月4日)を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたとおりの海外調査と聞き取り調査を実施するにはいたらなかったが、(1)ノーマン・カズンズ・ペーパーの入手とその資料の精査、(2)ヘルシンキ合意に関するフリーダム・ハウスの一次資料の精査の中から、計画で掲げた課題すなわちベトナム戦争後にフリーダム・ハウスが取り組んだ活動とその背景について検証を進めることができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
今後はカーター政権期~レーガン政権期の人権外交政策とフリーダム・ハウスの関係性を追究していくために、初年度に引き続き、フリーダム・ハウスおよびその関係者の一次資料調査と関係者や専門家へのインタビュー調査を実施することが不可欠となる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度に使用する研究費は、海外調査のための旅費と資料代(複写代を含む)が主なものとなる。その他、研究のために購入する図書と文献取り寄せ(ILL)の費用などに使用する計画である。
|