本年度中は、市民団体の役職者の政府の公職への包摂が、李明博政権、朴槿恵政権のもとではどのように見られたのかを調べた。市民団体とは野党志向の強い改革派(左派的な面もある)の参与連帯、中道的な経済正義実践市民連合、さらに保守的で政権与党志向のニューライト団体(ニューライト全国連合)のことである。これまで前者の2団体について調査してきたが、今回初めてニューライト団体についても調査することにした。確認できた点は、次の二点である。 第一に、李明博政権、朴槿恵政権のもとで参与連帯、経実連の役職者の政府への包摂は減少していることが確認された。 第二に、ニューライト団体の場合、限られた役職者名簿であり、全体像を描くまでには至らなかったが、その役職者の政治への進出は地方議員、首長などの形態が多く、地域の政治活動家がニューライト団体の役職者となり、政府よりも政党(保守系のハンナラ党、セヌリ党)に包摂されている実態の一端を明らかにすることができた。 上記の二点をまとめると、市民団体としての自律性(政府・政党の制御からどれだけ自由であるのか)という点では、参与連帯、経実連に比べニューライト団体のほうが劣るということになろう。
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