研究課題/領域番号 |
23530156
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研究機関 | 北星学園大学 |
研究代表者 |
浦野 真理子 北星学園大学, 経済学部, 教授 (30364219)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | インドネシア / 国際情報交流 |
研究概要 |
この研究の目的は以下のとおりである。インドネシアで2008年に始まった村落林制度は行政の最小単位である村落ごとに住民に共同体的資源管理を行うことを認めている。国家が規定する「村落林」として地域の森林資源を登録し運営することは、地域住民の慣習的な資源管理と内部の意思決定過程にどのような影響を与えるのか。運営の期間や内容を国家によって制限されていることは、地域の経済発展や環境保全にどのような影響を及ぼすのか。インタビューと参与観察を行い、近代国家における共同体的資源モデルケースとしてのインドネシア村落林制度の利点と問題点を明らかにする。この目的の達成に向けて、23年度は以下の活動を行った。23年4月―7月、23年9月―24年1月の間は、文献調査を通じて、村落林制度に関連した法令、インドネシアの農地・林業政策、油ヤシ農園の拡大について調査を行った。23年8月、24年2月の二回に分けてインドネシアでの調査を行った。特に、ジャカルタの林業省で、村落林に関する政策決定担当者に対して、全国の村落林申請と認可状況についての聞き取りを行った。ここで、村落林申請の状況を確認した。また、東カリマンタン州の村落による村落林認可にあたって問題となっている企業操業許可との重複状況と、林業省内の縦割り行政が明らかになった。また、東カリマンタン州東クタイ県で村落林申請を進めている村落、村落林申請を支援しているNGO、および東クタイ県政府と林業局政府において、申請に関する進捗状況と村落内部の意思決定状況に関する聞き取りと参与観察を行った。また、24年3月トロントで行われたアジア学会の年次総会で研究成果の一部を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ジャカルタでの調査と東カリマンタン州における調査は、政府担当者、NGO,および村落地域関係者の協力を得て計画書に記したとおり予定通り進んでいる。しかし、インドネシア科学技術庁から得る調査許可に関して、インドネシア側で現地の研究者との共同研究のもとで行うという方針が新たに出された関係から、調査許可の取得を予定どおり行うことができなかった。調査許可は24年8月開始を目指して新たに申請を行う予定。また、平成23年度においてはジャンビ州での調査を行うことができなかった。ジャンビ州での調査は、24年8月か25年2月に行う予定である。また、より多くの一般の人々にインドネシアをはじめとする熱帯林減少の問題に関する理解を深めるためのホームページ開設を準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
訪問調査に関しては、東カリマンタン州における訪問調査について、ムラワルマン大学の社会林業センターのアグン・サルジョノ教授の推薦と共同研究という形でインドネシア科学技術院の許可を得て行う予定である。これは、インドネシア政府から、現地の研究者との共同研究という形での研究をするようにという方針に沿ったものである。また、ジャンビ州における調査許可の申請と訪問調査も行う。調査の内容は、当初の研究計画に沿って行う。訪問調査と並行して現地データの整理と分析を行うとともに、文献調査を進め、インドネシア以外の国における慣習的土地権の法的扱いに関する調査を進める。研究成果の発表については、24年のアジア学会で発表した原稿を海外の査読雑誌に投稿を準備している。24年10月にコーネル大学で行われる土地収奪に関する学会での発表に応募する。また、ホームページの開設を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度は購入予定であったノートパソコンの購入が遅れたこと、およびジャンビ州での調査を行うのが24年度にずれ込んだことから、727420円の残金が生じた。また、調査許可の取得が遅れていることから、現地での調査協力者に依頼した調査も行わなかった。これは24年度以降の調査のなかで支出していく予定である。具体的にはコンピューターの購入、2回のインドネシアの訪問調査、調査許可取得関連費用、現地での調査協力者への謝礼の支出を行う予定である。
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