研究課題/領域番号 |
23530157
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研究機関 | 東京国際大学 |
研究代表者 |
近藤 久洋 東京国際大学, 国際関係学部, 准教授 (20385959)
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キーワード | 紛争ガバナンス / 破綻国家 / 平和構築 |
研究概要 |
本研究では、破綻国家が破綻を形成・持続するには、「紛争ガバナンス」があったという問題意識からルワンダの事例を研究してきた。具体的に、本研究は、(1) ルワンダのジェノサイド期における「紛争ガバナンス」のメカニズムを明らかにすることと、(2) ジェノサイド後のガバナンスのメカニズムの双方を明らかにすること目的としている。 そのため、1年目での文献レビューに基づき、破綻国家をガバナンス論から再構築するための視角を得た。2年目には、ルワンダの政府機関・援助実施機関とのインタビュー調査を行い、特に紛争時のガバナンスの問題と、近年のガバナンス改革に関する情報を収集することができた。3年目には、これまでの文献レビュー・現地調査結果に基づき、ジェノサイド期の「紛争ガバナンス」について、そのメカニズムを明らかにした論文をとりまとめ、公刊している。その論考で、当初の計画通り、ルワンダの事例から「紛争ガバナンス」という新たな概念を提示しており、既に研究目的の半分に到達することができたと考えている。 今後は、ジェノサイド後のガバナンスのメカニズムに関して詳細な分析を行い。現実主義的見地から、新たな平和構築のあり方を提示する論考をとりまとめる。最終的には、ジェノサイド期の「紛争ガバナンス」のメカニズムと、ジェノサイド後のガバナンスのメカニズム、の双方を論じる論文を英文で執筆の上、英文ジャーナルに寄稿する。これにより、(1) 「紛争ガバナンス」という概念を提示して、紛争・破綻状態を可能にしたガバナンス構造を究明し、(2) 「紛争ガバナンス」に対する国際社会の対応の問題点とオルタナティブを提示するという当初の目的2つを達成することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度と平成25年度にルワンダでの現地調査を行う予定であったが、他の研究プロジェクトによる出張と重なり、日程上、現地出張が困難となった。 そのため、延長申請を行った上で、平成26年度に当初予定の現地出張を1度行う必要が発生した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に行うことは、次のとおりである。 (1) 近年のルワンダにおけるガバナンスのメカニズムを把握するための現地調査(2014年9月に実施予定) (2) 近年のルワンダにおける主要援助国・機関によるガバナンス分野への支援の把握 (3) 研究をとりまとめ、「紛争ガバナンス」の概念を提示し、その概念に基づく新たな現実的な平和構築論の展開を論じるため、英文ジャーナルへの寄稿を行うこと 以上、3点である。(1)と(2)については、平成24年度の現地調査をupdateする程度の調査であるため、十分に実施可能性はあると考えている。(3)についても、「紛争ガバナンス」に関する論考は既に日本語で公刊しており、新たな平和構築論の部分を執筆し、英語にする程度の作業量である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は、他の研究プロジェクトで海外調査が4回入り、そのため、当初予定のルワンダ調査を日程上の理由により実施できなかった。他方、文献調査によるルワンダ情勢の把握とガバナンス研究を継続し、当初予定を上回る物品費となった。 なお、物品費のほどんどが書籍の購入によるものである。 本研究プロジェクトは当初3年実施の予定であったが、他研究プロジェクトとの関係で平成23年度と平成25年度に、予定していたルワンダ現地調査ができなかった。従って、延長申請を行った。 延長申請が認められ、平成26年度はルワンダにおける調査を行い、科研費を有効活用させて頂く。具体的には、ルワンダ政府と援助機関を訪問し、近年のルワンダのガバナンス改革についての最新の情報を収集することとする。
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