現段階の研究成果は論考・口頭報告にとりまとめられている。その内容は、「紛争ガバナンス」の分析枠組みとルワンダにおける「紛争ガバナンス」の構造を明らかにしたことである。 すなわち、ルワンダにおける紛争ガバナンスは、農村の貧困・不満といった社会的・経済的条件、民主化の失敗・急進派による政治的操作、操作されやすい大衆の存在を政治的条件としていた。中央の急進派政治エリートが、地方の政治エリート・行政官をパトロン・クライアント関係に編成し、虐殺への動員を可能にしていた。虐殺に関与するアクターを相互に結びつける社会関係資本は、フツの結束を高めるとともに「他者」ツチへの冷酷な行動を可能にした。
|