アメリカ国内における油田開発は近年沖合へ移動しつつあるが、海底資源の新規開発は、一部地域で制限されてきた。その背景には、1989年アラスカ州で起こったエクソン・バルディーズ号事故がある。事故後、共和党G・H・W・ブッシュ大統領は、環境上脆弱な地域における新規石油・天然ガス田開発の掘削および開発権益であるリース権売却を一時停止するモラトリアムを発令し、それがオバマ政権にいたるまで、繰り返されてきた。本研究は、新規沖合油田開発停止措置の背景にあったアラスカ州油流出事故、その後ブッシュ政権下で成立した1990年の連邦油濁法を通してアラスカ州における油流出事故防止体制づくりを明らかにしている。
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